個人のレベルアップを図るための基礎練習
さて、チューバという楽器はその見た目もあいまって、低音、伴奏、重い、だるい、しんどい……というイメージが強いかもしれませんが、まーだまだ世界は広いですよ。
チューバが主役の曲もあれば、吹奏楽でも五線譜を軽く飛び越えてしまったり、逆に「下に何本引いているんだよ」というくらい低い音が出たりします。(アンサンブルでは吹いていたらいつの間にかト音記号になっていたものも……)
いま、学校でつまらないなーって思っている人、もしかしたら先生が突然とんでもない譜面を持ってくるかもしれませんよ! 綺麗に出せる音域を広げていきましょう(譜例①)。
【譜例①】
基準となる音が何回も出てきますが、ぶれないようにしましょう。半音ずつ、下がっていきますが、下がったときの音が前の音と同じテンション、音量、音色であるように気をつけてみましょう。
Bb管の場合、Fの音にきたときに、開放のBbと開放のFではなく、開放のBbと4(1,3)番の指使いのFで吹いてみましょう。だいぶ音が出づらいと思いますが、できるだけ同じになるように。
チューニングのBbからオクターブ練習したら、次は真ん中の開放Fの音から同じようにオクターブ下がってみましょう。かなりきついと思いますが、なるべく同じになるように……下の音に下がっていくときに、だんだん息の量を増やすようにしていくと安定してくると思います。はじめからうまくいくことは稀です。
こんなの楽勝だよって人も、ぎりぎりの人も、次はチューニングのBbのオクターブ下の音を基準にやってみましょう。これはできるところまでで構いません。ピストンが3本の人はペダルトーンのEまで、4本の人は理論上ペダルトーンのH以外は吹けるはず。“理論上は”ですが、必死です。僕がレッスンするときも息切れします。 必死に吹いたあとは少し呼吸を整えて、チューニングのBbの音から上にいってみましょう。要領は同じです。
低音や高音について、人によってつまずいている箇所も違うので、実際に見ないと「これだ!」とは言えませんが、この練習をしているときに基準となる音とぜんぜん違う響きになったときに、
I、音が移動するときに口を真横に引っ張っていたり、口に力が入ってしまったりしていないか
II、息の量が増えたときに息のスピードが緩みすぎていないか
III、出しにくい音のときに力ずくで吹こうとしていないか
以上をまずはチェックしましょう。
管楽器の音は唇の振動と息で作られます。なので、口に力が入りすぎて息を無理やり入れると、尖ったような暴力的な音になってしまいます。リラックスをして練習に臨むようにしてください。
※こちらの記事は、Wind-i vol.6を一部抜粋し掲載しています。