皆さんは「ダンプレ」を知っていますか?「ダンス&プレイ」、つまり、踊りながら演奏するスタイルのことです。その「ダンプレ」をさらにヘビメタ化してしまった旭川永嶺高校をご紹介します!
定期演奏会で多くの学校がやっている振り付けに比べると、かなり激しく、まさにダンスの域に達している「ダンプレ」は、北海道の池田高校で生まれました。
現在、道内では池田高校、札幌国際情報高校などが取り組み、大人気になっていますが、異色なのが旭川永嶺高校です。世界中で愛されている3人組のヘビーメタルアイドル「ベビーメタル」の楽曲をダンプレでカバーした「メタルダンプレ」が話題に。従来のダンプレを超えた激しすぎるパフォーマンスには、本家ベビーメタルのファンも魅了され、演奏会に駆けつけるほど。
そんな旭川永嶺高校に顧問の吉川和孝先生がダンプレを導入したのは2013年ごろのことでした(当時は学校の統合前で旭川凌雲高校)。
「うちはマーチングにも取り込んでいたんですが、ダンプレはマーチング以上に心地よい疲労感があり、バンドが明るくなりました。また、暗譜して吹かなければならないためか、初心者の上達が早くなりましたし、全体として見ても音量が出るようになりました」
本家ベビメタに負けないハードなダンス!
キツネのお面で登場する山本彩乃さん
あるとき、吉川先生はニュース番組でベビーメタルの映像を目にし、その新しさにすぐ心を奪われました。
吹奏楽部顧問・吉川和孝先生
「吹奏楽でもあまり取り上げられないヘビーメタルというジャンル。しかも、ダンスに特徴があり、ダンプレに取り入れるならこれだ、と思いました」 ベビーメタル役の3人の女子部員を選出し、衣装などを用意し、激しい振り付けでヘビメタの世界を表現。他にも、ももいろクローバーZの楽曲や懐かしい昭和の名曲もダンプレで取り上げていますが、今や旭川永嶺高校=メタルダンプレとなっています。
実際、激しく踊りながら演奏するのは難しくないのでしょうか。
局長(=部長)の向井地桜さん(3年・サックス)はこう語ります。
「やっぱり最初は踊っていると吹けないですし、吹いたら踊れない……という状態でした。でも、やっていくうちにだんだんコツがつかめてきて、激しく踊っても吹けるようになりました」
メタル以外のダンプレも超楽しい!
ベビーメタル役の3人のうち、センターのSU-METAL 役を務める山本彩乃さん(3年・ホルン)は、メタルダンプレの楽しさをこう話してくれました。
「センターで踊りながら、お客さんとの一体になって盛り上がれるのがいいです。一緒にステージを作っている感覚があります。お客さんを楽しませるためにダンプレをしていますが、私たち自身が一番楽しんでいる気がします(笑)」 ダンプレは座奏にも好影響で、2017年の北海道吹奏楽コンクールでは金賞を受賞した旭川永嶺高校。現在は、コンクールよりもダンプレが活動のメインなのだとか。
「以前、コンクールに必死になっていたとき、得るものもあれば失われるものもある気がしていました。今は、ダンプレでお客さんの生の反応に触れ、SNSでもリアクションをもらい、生徒たちはとても楽しそうです」
ギリギリの空間で演奏披露してくれました
今後は、マーチングとダンプレを融合させた「MDP(マーチングダンプレ)」など、新しいチャレンジもしていくそうです。ぜひ皆さんの学校・楽団でもダンプレに挑戦してみてください!
2017年度の部員数は84名。“ブラバン・ディズニー!”コンテストでは2016年にグランプリ、2017年はパフォーマンス賞受賞。ベビーメタル役の3人の愛称は「curumy Metal(クルミーメタル)」。