コロナは収束せず、ステイホームの時代。
テレビとネットを見続ける。
若い人は、テレビを見ないと言うが、本当だろうか?
芸人が、田舎の学校に行くと、生徒たち皆が目の色を変えて喜んでいる。
You Tuberがテレビのバラエティで、闊歩する。
音楽家は、不特定多数の聴取の前で演奏を披露する。
文化人が、正義を論じる。
ヒロイックな医師が、コロナの危機をリアルに訴えている。
テレビ出演の反応は、決して少なくない。
テレビにより、顔が知られることで特別な人となり、その力で多くの人を楽しませ、励ましたり、助けたりする事もできる。
メディアで有名になることは、多くのカードを手に入れることで、いろんな夢が叶い、使い方によっては、ヒーローになることができる。
一方でなんの「芸」もないのに、有名にだけなりたい人がいるのは残念だ。エンタテイメントに限らず、主義主張や信念のないコメント出演は邪魔になる。人々のために働かないのに、権力だけをもちたがる政治家は最もタチが悪い。
そういうタイプは、世渡り上手でサクセスしても、自分が持ち得た力を、かけらも人のために使わない。芸もなく、才能もないから、その地位にすがりつくことだけを日々考える。
そんな、素人芸で自己顕示欲が強いだけの人たちが目立ちたがるのは、なぜなのか、私は理解できない。
テレビという舞台は見るに、堪えられないものになる。
どんな仕事をするにも、芸(才能、技術などの総称として私は使う)が必要だ。その努力をするのが嫌で、素人芸のまま、社会に出ようとすると迷惑だ。
そのうえに、自己顕示欲が強いと、目立ちたい、偉くなりたい、と望むからますます、うざい存在になる。地位や名誉を掴むためなら、「芸」がなくても、気にしないのだ。
昨今は、与党政治家にこの傾向が強いと感じる。
コール・アンド・レスポンス芸に、全く答えず、コミュニケーションから、どこまでも遠ざけるだけ……。
音楽家なら、他人の音を聞かずして勝手に別の音を出しているだけだから、もはや、音楽をクリエイトすることはできない状態だろう。
レスポンスはしないまま、お仲間の分まで言い訳と擁護をしていくのがもしかして、政治家の唯一のお家芸なのだろうか?
日本の政治家は、パブリックスピーチが下手すぎる、と言われるがもはや、「スピーチ力」以前の問題ではないか。
小賢しい芸にしても、下手すぎる。「芸」のない嘘をつく政治家たちには、もう、うんざりだ。
私の嫌いな悪女や詐欺師でも、それよりは「芸」があるのではないか。
テレビ出演は政治家にとって、重要な仕事の一つだろうが、発信したい真実や、信念もなく、自分たちを守るためだけにしゃべる。
いまや画面を見るだけで、声やテロップがなくても顔を見ただけで、レスポンスできないタイプかどうかがわかるし、最初の一音の響きのどこにも美意識がない。
まるで自分が、匂いで罪を嗅ぎ分ける「ボーダー 二つの世界」(2018年、スウェーデン、デンマーク合作)のヒロイン、トロール(北欧、伝説の妖怪)になったのかと思うくらい、こうしたノーレスポンス言動に対して、匂うのだ。
国会でも、記者会見でも、ゲスト出演でも、カメラが回っているのに、彼らはひるむことなく、感じることなく、ただただ言い訳の垂れ流しで周囲の空気を淀ませる。
しゃべりが下手なのか、
渡された原稿が悪いからか、
見栄えがしないルックスだからか、
そんなことではない。
「ディアボロス/悪魔の扉」(米、97年)のように、ある瞬間に、悪魔の誘惑に負けて禁断の林檎を食べてしまった人間が、魂を抜かれ、善悪もわからなくなり、ただ「やってる感」の浅い芸だけで、世の中を動かしていこうとする、そんな抜け殻のような姿が映し出されているのだ。
そこまできているレベルだから、もはや言葉を正せ、とか、猛省を促すとか、言っている場合ではないだろう。
多くの国民にまで見透かされたのは、よくも悪くも、「芸」の浅さだ。
ここまで素人芸を見せられては、「金、返せ~」と言わざるを得ない。
これで、お金が取れると思っているのだから、始末が悪い。
よほどエンタテイメントの世界のほうが、厳しい。
ドキュメント映画にもなった「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」(2018年、アルゼンチン・ウルグアイ・セビリア合作)の第40代大統領、ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダーノは、言った。
「貧乏な人とは、少ししか持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
「芸」を疎かにした貧しい政治家たちが、上級国民としての態度で舞台の上から観客を見下ろし、日々、自己顕示を楽しみながら、おかしな踊りを見せている。
面白くないと野次った観客は、罰金か刑罰に違いない。
もはや、彼らにカーテンコールは求めないだろう。
木村奈保子
作家、映画評論家、映像制作者、映画音楽コンサートプロデューサー
NAHOKバッグデザイナー、ヒーローインターナショナル株式会社代表取締役
www.kimuranahoko.com
木村奈保子さんがプロデュースする“NAHOK”は、欧州製特殊ファブリックによる「防水」「温度調整」「衝撃吸収」機能の楽器ケースで、世界第一線の演奏家から愛好家まで広く愛用されています。
Made in Japan / Fabric from Germany
問合せ&詳細はNAHOK公式サイトへ
[フルート]
フルート&ピッコロ横置き GM2(C管/H管)
GM2は横置き型で、フルート+ピッコロを余裕で収納できます。2つのハードケースを仕切るボアマットも備えており、2段重ねで横置きのまま持つことができます。
なお、GMシリーズはマチ幅が厚いため、スコアブリーフケース内には収納できませんが、若干厚めのダブルケース「Gabriel/wf」(スコアブリーフケースよりマチ幅+1cm)には入れることができます。また、マチ厚ワイドブリーフケース「Banderas/wf」には、CHとも余裕で収納できます。
[クラリネット]
2コンパート・リュック 「Carlito/wf」
Wケース+マチ幅4cmのコンパートメントを追加し、革ハンドルをつけないスタイル。フルート、オーボエ、クラリネットに対応するブリーフケース型で、リュック専用のケースバッグです。
サイズはWケースと全く同じで、カバン、小物側の別コンパートメントを追加しました。外装は、ポケットを含めて全面止水ファスナーで構成されています。
ケース側は、そもそもクラリネットWケースにちょうどいいサイズですが、シングルケースにも対応できるよう、固定ベルト付きポケットをつけています。
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第22回:新しい生活様式とともに、新たな文化を…!
第23回:民族の血とブルース
第24回:“ナオミズム”の強烈なメッセージ
第25回:まっとうなヒロイン像の“継承”
第26回:今こそ、Go to シアター!
第27回:私たちを踏みつける、その足をどけて
第28回:実話の映画化による、シネマセラピーの時代へ