今回はパート一人ひとりのレベルアップを図るべく、「フィンガリング」について勉強しましょう。
キィの説明を分かりやすくするために、図1を見ていただきながら進めていきたいと思います。ここでのキィの名称は、フランスのサクソフォン奏者、ジャン=マリー・ロンデックス氏のメソッドにあるものを使用させていただきます。
Q. B♭(A#)音の押さえ方で、基本3種類の
◎ 左人差し指B 、B♭(キィ)
◎ 左人差し指B、中指A+右人差し指サイド下
◎ 左人差し指B+右人差し指F
は、どうやって使いわけたらよいでしょうか?
例えば、F#メジャースケールの練習ときに迷います。
A. B♭(A#)の基本フィンガリングは、図1の
(1)①+Ⓟ、(2)①+②+Ta の2種類で、
(3)①+④、(4)①+⑤ のフィンガリングは、少し特殊なパターンの音形や、音程の修正などで使用するものと思ってください。
しかし、これから挙げるそれぞれのフィンガリングのパターンは、必ずしもそうでなくてはいけないわけではなく、奏者によっては違う場合もありますので、演奏する時はパターンを試してみて、最もスムーズなフィンガリングを試してみてください。
では例を挙げてみます(譜例①)。
音符の下の番号は、前述のフィンガリング4種類です。最後2小節のように、トレモロでの速い動きでは、(1)のフィンガリングを使うより、 (3)と(4)のフィンガリングを使うほうが、指の動きが少なくスムーズになりますね。前述の「少し特殊なパターンの音形」とはこのような場合を指します。
Q. 低音(B♭~C#)を出す時にテーブルキィを押さえる左手小指がすぐに疲れてきます。
(楽器をさわらない時でも)何かよいトレーニング方法はありますか?
A. 小指は他の指に比べると力が弱いため、サクソフォンのキィの中で比較的操作が重く感じる左手のテーブルキィ(図1のC#、B、B♭)は、連続する動きや速い動きには、やや慣れが必要です。すぐ疲れる場合は、無理をせず少し他の指を操作する部分を練習して、小指の練習は短時間に分けて練習するとよいでしょう。
指を鍛えるような、筋トレみたいなことは痛める原因になるかもしれないので避けたほうがいいと思いますよ。
Q. ♩=120での16分音符で、C、B♭、C、D、B♭~のような並びの音がでてくると指がもつれるのですが、練習方法はありますか?*B♭音は「左人B、B♭(キィ)」を使用しています。
A. 質問にある、C→B♭→C→D→B♭のパターンで、C→B♭→CのB♭を(①+Ⓟ)で演奏すると、人差し指と中指を交互に動かすことになりますね? こういう動きをクロスフィンガリングと言って、得意な人は問題ありませんが、普通は音の繋がりが悪くなりやすく、速い動きもやや難しくなりますので、ここでのB♭は(①+②+Ta)を使ってみましょう。最後のD→B♭は(①+Ⓟ)がスムーズです。
このようにパターンを変えたフィンガリングを組み合わせて演奏すると楽になることがあります。
Q. 高音D~D#(E♭)のトリルで左人差し指がどうしても速く動いてくれません。トレーニング方法はありますか?
A. 速く指を動かすためには、まずはゆっくり確実に動かす練習が必要です。
メトロノームに合わせて、8分音符のような確実にできる速さで練習します。できたら次は3連符で。次は16分音符……というように規則的に数を入れる練習を繰り返します。
早口で話せない時はゆっくり話す練習をして、滑舌よく話せる練習をすれば、次第に早く確実に話せるようになりますね?
楽器の練習も同じなのです。そして根気が必要です。
Q. 家にある楽器を学校にもっていきますが、High F#キィがありません。部活の演奏で音を出す必要が出てきたのですが、High F#キィ付きの楽器に替えたほうがよいでしょうか?
A. 昔はHigh F#キィがない楽器がありましたが、今は一部のメーカーで比較的安価のバリトンサクソフォン以外は、High F#キィが付いています。
曲の中ではよく出てくる音なので、楽器を購入する予算があればそのほうがいいでしょう。
購入が難しい場合は、図1の8va(オクターヴ キィ)+X+②+Ta でもHigh F#を出すことができます。
※この記事はTHE SAX vol.68を再構成したものです