みなさんこんにちは。
今回は前号に引き続きアルメニアンダンス パートIを取り上げます。吹奏楽を代表する名曲のサクソフォンパートをさらに詳しく掘り下げていきましょう!
By 田中靖人
─ 今回のPick Up 曲 ─
●● サクソフォンの演奏ポイント!●●
69小節目からは場面が変わって『おーい、僕のナザン』という曲になります。ある若者がナザンという恋人のために歌います。パーカッションのリズムに乗ったアルトサクソフォンのソロは8分の5拍子ですが、細かくリズムを感じ過ぎると旋律の表情が硬くなってしまいがちですので、ビートを理解できたら変形の2拍子と捉えて、あたかも歌っているかのような自由な感じで演奏できると楽しくなりますよ。間もなく入ってくるオーボエとも絡みながら演奏できると更に楽しくなります(譜例6)。
87小節目からのテナーサクソフォンとイングリッシュホルンは、ユニゾンで実音Aをsempre p(常に弱く)で演奏するのですが(譜例7)、長い音で演奏しているのはこの2パートだけなので実はオイシイ音なのですよ! ですからただ演奏する無機質な感じにならないように、聞こえてくる旋律を耳で追いながら演奏してみましょう。一緒に歌っている旋律であることを感じられるでしょう。
117小節目アウフタクトからのアルトサクソフォンの短いソロには、8分音符にテヌートがあります(譜例8)。微妙なニュアンスでいろいろな感じ方があると思いますが、ニュアンスにこだわり過ぎず流れを大切に。歌のように演奏できると良いですね。
132小節目から137小節目までの2ndアルトサクソフォンは、2ndフルート、3rdクラリネットとのユニゾンです。ハーモニーの内声になる目立たない声部ですが、実音DからC#へ移るこの動きがオイシイ! それから同じところで演奏するアルトクラリネット、バスーン、テナーサクソフォンの旋律は、前者のパートと音が逆行する動きがオイシイのです! このふたつのグループで主旋律にグイグイ絡みましょう(譜例9)。合奏での音がかなり変わりますよ。
また、152小節目から3小節間のイングリッシュホルン、1st、3rdクラリネット、2ndアルトサクソフォンの動き、アルトクラリネット、バスーン、テナーサクソフォン、ユーフォ二アムの旋律と逆行の動きも同じくオイシイ(笑)(譜例10)。こういう内声のパートが音楽的に演奏できると、楽しさがわかってきます。1stを演奏する人も、2ndパートを演奏してみると、スコアを目でみるよりもさらに仕組みが理解できて、オイシイところを感じることができますよ。
224小節目からは最後の場面「行け、行け」という曲です(譜例11)。快速の4分の2拍子で、陽気で楽しい旋律や速いモチーフで最後まで駆け抜ける、「イケイケ」な曲です(笑)。
シャープなリズム、速いモチーフをカッコよく演奏するには、正確にきちんと演奏し、謙虚で丁寧な練習が必要です。抒情的で美しい旋律を奏でるのと同じように、速くても表情を大切に演奏して自分たちの演奏を目指してくださいね!
※この記事はTHE SAX vol.74を再構成したものです