クラリネット記事
憧れのプロ奏者はこの組み合わせ!!

あなたのセッティング教えてください! Part.2

AQUAMUSE / 大谷淳子 / 金子平 / 木原亜土 / 木村健雄 / 小林鮎美 / 照沼夢輝 / 花岡詠二 / 三浦こと美 / 三界秀実 / 吉本拓
※50音順、敬称略

 
小林鮎美

小林鮎美Ayumi Kobayashi

フリーランス
 
A1.
ヤマハ YCL-950 ideal
音色は、声と同じく十人十色であり、その人のもつ最大の個性だと思っているのですが、息がまっすぐ素直に入るところにストレスを一切感じなく、声を発しているような感覚が、個性を忠実に表しているようでとても気に入っています。また、音の響き、柔らかさに自然を感じ、クラリネットの良い意味での素朴さが感じられるところも、すべてが大好きです。
A2.
マウスピース:バックーン CG (Corrado Giuffredi) Crystal
華やかな響きが気に入っています。音を切ったあとの余韻の広がり方、また、自分の耳に返ってくる反響音も心地よくて好きです。
リガチャー:Hummingbird コリブリ・アメリオ
抵抗感が一切ない、ストレートな吹奏感があるところです。一点一点、個人のアトリエで製作されたゴム製のリガチャーなのですが、装着感が少なく、まるで指で押さえているような、そんな良くも悪くもナチュラルでまっすぐに息が入るリガチャーが、本来の自分の音色を引き出せている気がして気に入っています。お花がついたかわいい見た目もお気に入りです。
リード:ダダリオ レゼルヴ エボリューション 2 1/2
楽に吹けるところです。加えて、軽やかな吹奏感に対して、柔らかい音色と豊かな響きを鳴らせるのが気に入っています。
A3.
Paulo Sérgio Santos
A4.
ブラジル人のクラリネット奏者なのですが、美しいメロディに溢れるブラジル音楽を、まるで口で歌っているかのように、悠々と伸びやかにクラリネットで表現されているところに魅力を感じます。 楽器も体の一部のように、ストレスひとつない軽やかなタッチが、音色の美しさをより引き立たせていて憧れます。
A5.
特にありません。
Profile
ブラジル音楽の魅力にとらわれ、ボサノヴァやショーロのほか、クラリネットでは珍しいブラジル音楽にも取り組む。また、自然の風景や想いを題材に、クラリネットのオリジナル曲を自ら作曲し、全曲オリジナルのアルバムを現在レコーディング中。東京をメインに、出身地である大阪でもライブ活動を行ない、その他、アニメやゲームの劇伴音楽やCM音楽、アーティストのレコーディングへの参加など。

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照沼夢輝

照沼夢輝Yumeki Terunuma

日本フィルハーモニ交響楽団クラリネット奏者
 
A1.
ビュッフェ・クランポン ディヴィンヌ
非常に上質、上品な柔らかい響きを持つ楽器でありながら、音のセンターをしっかり捉えれば大ホールの空間でも楽に響かせることができる。ビュッフェ・クランポンの他系統の最上位モデルであるトスカ、レジェンドに比べて奏者側に必要とされるコントロールの比率が高く、使いこなすにはそこそこ技量が必要であると感じるが、その分多彩な表現が可能な楽器である。
A2.
マウスピース:バンドーレン B40、アトリエ・シュミット TY(プロトタイプ)
B40 オーケストラ、ソロ、室内楽、吹奏楽まで様々な演奏形態、古典から現代まであらゆる時代様式に対応できる懐の広さが魅力。特に数年前に削り方が変わってからは大量生産の割には個体差も少なくなった。何か事故で破損などが起きても、どこでもすぐに仕入れられる安心感と、周囲に使用するプレイヤーも多いので響きを合わせやすいという安心感も良い。
TY 私の使用するB40を元にアトリエ・シュミットに作ってもらった試作品で、特にシューマンやブラームスなどドイツロマン派に非常によく合う表現力豊かな音色が出る。ハンドメイドで量産はできないが、その分個々のクオリティは非常に高い。
リガチャー:ロヴナー MkⅢ
着飾らないナチュラルな響きが一番の特徴で、奏者にフレキシビリティを与えてくれる。リードに対する高いホールド力を有し、管の持ち替えを数小節で行なわないといけない場合でも安心して持ち替えられる。落としても革製なのでほとんど大丈夫という堅牢性と求めやすい価格帯もポイントの一つであろう。意外と個体差があるのと、経年で皮が伸びてきて音の芯がぼやけてくるので、定期的に新しい物の購入は必要。
リード:バンドーレン V12 3 1/2
青箱に比べてコシの強い音と吹き込んでも崩れない音色感は、オーケストラを中心に活動する筆者として十分な受け皿を感じることができる。そこそこ安定した品質と、どこの楽器店でも売っている安定感も旅芸人には欠かせない。
A3.
リカルド・モラレス、キリアン・ヘロルド、ボリス・アラフヴェルディアン
A4.
一人という指定がなかったので欲張りに三人も挙げてしまいましたが(笑)。出身国も違えばスクールも違う三人ですが共通する点は、スピードの速い息が心地良く乗ったフォーカスされた音色と正確な音程感、クリアな発音、上から下までどの音域でもリードの振動にまったく無理がなくクラリネットの構造上の欠点が感じられない点、でしょうか。少なくともテクニカルな面では無敵でしょう。
A5.
とにかくCDやYouTubeを通して頭の中のイメージを強固にすることです。道具をその人らに近づけることも方法の一つですが、結局何を使っても出る音はその人の頭の中にある音ですので。以前セバスティアン・マンツと話した時も、エーラーの音色が好きだからといってベームから変える必要はないと思う、それより頭の中のイメージを作ることが大事だと言っていましたし、例えば安価なスチューデントモデルでもプロが吹けばやはりその人の音になりますし。大事なことはその辺だと思います。
Profile
1994年生まれ。3才よりピアノを、13歳よりクラリネットを始め、水戸第三高校音楽科、東京芸術大学卒業。クラリネットを山本正治、金子平各氏に、指揮を故湯浅勇治氏に師事。20歳で日本フィルのオーディションに合格し芸大三年在学中クラリネット奏者に就任。指揮者としても活動しており各地のアマオケなどとの共演のほか、2024年2月にはミューザ川崎大ホールにて在京オケ奏者らによる特別オーケストラを指揮し好評を博した。

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花岡詠二

花岡詠二Eiji Hanaoka

ジャズ・クラリネット奏者
 
A1.
ビュッフェ・クランポン R13
R13より上級機種は、とても音色が良く、楽器がプレイを助けてくれるような雰囲気があります。ただひとつ、ジャズ特有のうじゃじゃけたような音色で吹こうとした場合、楽器が「そんな音で吹いてはいけません」という感じになります。その点R13は、どのような奏法にもオールマイティに対応してくれる名器だと思い、気に入っています。
A2.
マウスピース:バックーンMoBa A2、P2+、オットーリンク 6☆、バンドーレン B40
リードやリガチャーとの組み合わせにもよりますが、音の抜けが良く音色も落ち着いた雰囲気に。オットーリンクにはレジェールのリードが合います。
リガチャー:北村英治モデル、ロブナー(通常のもの)
マウスピース&リードによって変わりますが、どちらもまとまりのある抜けの良い音になります。
リード:バンドーレン トラディショナル3 1/2、V12 3、ダダリオ レゼルヴ エヴォリューション 3、アルンドス 3、3 1/2、レジェール ヨーロピアンシグネチャー 3 3/4、3 1/2
むやみに音が広がったりせず、その割には自由度がある程度あり、そこが気に入っています。色々なものに目移りし、鈍らですが、場面により使い分けています。
A3.
ベニー・グッドマン、バディ・デフランコ、エドモンド・ホール、ジミー・ドーシー、北村英治。クラシックではレオポルド・ウラッハ、カール・ライスター etc.
A4.
まずは、目標のベニー・グッドマン、1930年~40年代の頃は特に素晴らしく、シンプルな音使いの割には説得力が最早神の域、しかも色気たっぷりです。また、エドモンド・ホールのように極めてダーティーな音色であるにもかかわらず強力にスウィングする、これも別な意味でジャズの場合は大きな魅力になっており大好きです。
A5.
ベニー・グッドマンを意識しセルマーを、そして20代の頃から北村英治師の追っかけが始まり、随分と影響を受けました。バディ・デフランコに憧れたことも含め、当時の北村師と同じルブランを、そのうちヤマハで同じ名前のEijiモデルを……という話からヤマハを。後年、日芸の後輩がビュッフェ・クランポンにいた縁からR13を。マウスピースなどのセッティングも数限りなく多用したので、書ききれません。ある時、北村英治師と一緒のステージで、北村師そっくりにソロの真似をして喜んでいたところ、メンバーの方から「同じソロのバックを二度やらなくちゃならない、自分流に吹け!」と言われたことがあります。そこから自分流を意識するように。まあ、しかしながらあらゆる芸事は真似から始まる、ただそれが2~3年も経つと自身のものになり個性になるということですね。やはり大元を研究することは大事だと思います。
Profile
我が国を代表するクラリネット・プレーヤー。日本大学藝術学部音楽学科卒。クラリネットを大橋幸夫、北爪利世各氏に師事。在学中よりプロ活動を開始。ジャズ理論を北村英治氏に師事。ベニー・グッドマン・スタイルのスイング・コンボ「花岡詠二スヰング・オールスターズ」をメインに、その他コンボからオーケストラまで様々なスタイルのグループを編成し、多彩な芸達者振りを披露している。1986年6月13日に他界したベニー・グッドマンのメモリアル・コンサートを毎年6月に主催。海外では1996年よりヨーロッパ各地、そしてアメリカのフェスティヴァルほか、コンサートに毎年ソリストとして招聘されている。
日本大学藝術学部講師を2019年まで永年兼任。2021年「野村胡堂あらえびす文化賞」「日本ジャズ大賞」を受賞。

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三浦こと美

三浦こと美Koromi Miura

フリーランス
 
A1.
F.A.ユーベル スペリオール
クラリネットでは一般的なグラナディラではなく、モパネを使った楽器なので、音の柔らかさ、響きがとても好きです! まだユーベルが日本に入ってきたばかりのときに買った楽器ですが、試奏のときに気に入ったのは最上位機種よりもモパネのスペリオールでした。見た目も茶色くてかわいいのでお気に入りです♪
A2.
マウスピース Wi&Fi S3
息が素直に入っていくのと同時に豊かに響く感じが特に好きです! いくつか種類がありますが、軽い吹奏感で豊かに響くS3が一番自分にしっくりきました。材質がエボナイトではないので楽器の変色を気にしなくていいところも地味に嬉しいポイントです。
リガチャー:ブルズアイ ブルズEXスターリングシルバー
昔から銀製のリガチャーが好きなのですが、ブルズアイは特にしっかり響く感じがお気に入りです。タンギングをした時にリードへの反応が良く、総じてとても吹きやすく感じます!
リード:Wood Stone PREMIUM CLASSIC 3 1/2
Wood Stoneを使っている人はあまり見かけないですが…個人的にはオススメのリードです。重いリードよりも軽めでコントロールしやすいリードが好きなので、Wood Stoneは私の好みにぴったりだと感じています。「んー、これはどう頑張っても使えないな」というハズレリードがほとんどないのもお気に入りポイントです!
A3.
マイケル・コリンズ
A4.
私がマイケル・コリンズを知ったのは高校生の時に聴いたCDでの演奏でした。そのCDに収録されていたロバート・ムチンスキーの『タイム・ピース』という曲での技術の高さと表現力に驚き、一瞬で虜になったのを覚えています。特に『タイム・ピース』の3曲目がとても美しくて、こんな表現ができたらいいなぁと今でも思っています。もし、彼の演奏を聴いたことがない方はぜひ聴いてみてください!
A5.
とにかく彼の演奏を聴きまくって理想の音色のイメージを明確にしました。同じ楽器やセッティングを真似ることも手っ取り早く音色を近づけるには良いかもしれませんが、いくら同じものを使っていても音色のイメージが明確につかめていないと理想の音として鳴ってくれないからです。例えば、一流料理人と同じ調理器具を使っていても、一流の料理の味をちゃんと分かっていないと同じ味は出せません。それと一緒で、音もセッティングや楽器を変えるよりもまず先に、明確なイメージを持つことが大切だと思っています。
それに、演奏を聴きまくってイメージするだけならお金もかかりません(笑)。一番コスパ良く自分の音を変えられる方法だと思うので、すぐにセッティングや楽器を変えられない学生さんにはぜひ試してみてほしいです。
Profile
聴いた人の心を元気にする、笑顔のクラリネット奏者。一児の母として育児に奮闘しながらもクラリネットの魅力を多くの人に伝えている。演奏活動の他に『超初心者でも簡単に音が出せて、クラリネットが好きになる個人レッスン』を行なっており、生徒一人一人に合わせた完全オーダーメイドレッスンで、その人が一番ラクに効率よく上手くなる方法を提案している。武蔵野音楽大学卒業。同大学卒業演奏会に出演。第33回ヤマハ管楽器新人演奏会クラリネット部門に出演。これまでに竹森かほり、三界秀実、秋山かえで、十亀正司の各氏に師事。スイカが大好物。

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三界秀実

三界秀実Hidemi Mikai

東京藝術大学教授
 
A1.
バックーン CG Cocobolo
木の管体の周りにカーボンが巻いてあるため、管体全体の動きがなく、安定している。
バックーンならではの響きの良さが気に入っている。
A2.
マウスピース:バックーン ヴォカリーズH
響きの良さとコントロールしやすさのバランスが取れている。
リガチャー:シルバースタイン マエストロ
全音域でのコントロールが楽で、リードの振動を自然なものにしてくれるように感じる。
リード:シュトイヤー エクスクルーシブ 4
コシが強いため、表裏すべてを調整する余地がある。(使用するリードはすべて自分で調整している)
A3.
曲によって、またはフレーズによって真似をしたいと思う場合は多いが、理想の音色のプレイヤーを1人に特定することができない。
A4.
コメントなし
A5.
何人かのクラリネット奏者の演奏するパッセージを真似るために、同じ楽器やセッティングを試したことは多々ある。
コロラトゥーラソプラノ歌手のグルべローヴァの声を真似するために、「夜の女王」の高音アルペジオをタンギングなしで吹く練習をしたことで自身のアタックに対する感覚が変わったこともあった。
音色というのはある瞬間の倍音成分を分析してどうこう言えるものではなく、音楽の流れの中でそれをどう変化させていくことができるかが重要だと考えている。そのため、何かを真似したいと思う時は「音色」の他に「アタックの種類」や「一音の中での変化」も考える必要があり、さらには「フレーズ感」「様式感」などの要素も大切にすることを心がけている。
Profile
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、1989年同大学卒業。1991年東京芸術大学大学院を修了。新日本フィルハーモニー交響楽団副首席奏者、東京都交響楽団首席奏者を経て、現在東京藝術大学教授。桐朋学園大学非常勤講師を兼任。クラリネットを小島皓二、故大橋幸夫、村井祐児、鈴木良昭の各氏に、室内楽を山本正治、海鋒正毅の各氏にそれぞれ師事する。

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吉本拓

吉本 拓 Taku Yoshimoto

読売日本交響楽団クラリネット奏者
 
A1.
ビュッフェ・クランポン トスカ
とても鳴りが良く、くっきりとした太い音色で、大きなホールで演奏するのに向いているところです。音程や吹奏感もナチュラルで、柔軟性もあるかと思います。
A2.
マウスピース:バンドーレン BD5
今はこのモデルを演奏していますが、他のメーカーのマウスピースも使用したりします。こちらのモデルは吹奏感がちょうど良く、様々なスタイルに相性がいいと思います。ダークできらびやかな音色が特徴的です。
リガチャー:バンドーレン M|O、ロブナー ヴェルサ
MO 軽やかなでナチュラルな吹奏感で、アーティキュレーションが容易に吹けるところ。
ロブナー シンプルで使いやすいところ。革リガチャー特有のモコモコとしたところが少ないところ。
リード:バンドーレン V12 3 1/2
マウスピースと相性が良く使用しています。ヘタれにくく、長持ちするから。
A3.
アンソニー・マクギル(ニューヨークフィル首席)
A4.
ベルギーの国際クラリネットフェスティバルに参加した際、コープランドのクラリネット協奏曲を聴き、その豊かな響きと表現力に感動しました。特にppの表現が素晴らしく、とても繊細なのに存在感がありました。なかなかニューヨークフィルを生で聴けるチャンスはないですがいつか聴いてみたいです。
A5.
到底マネできるものではないですが(笑)、彼の演奏は映像になっているのでオケスタのフレージングやダイナミクスなど、真似して吹いてみたりしたことは何度もあります。特にYouTubeに上がっている『ローマの松』のソロは大好きで何度も聴きました。
Profile
関西学院大学社会学部を経て、東京藝術大学を卒業。卒業時に同声会賞を受ける。在学中、藝大モーニングコンサートに出演。第30回日本木管コンクール第3位。宮崎国際音楽祭、セイジ・オザワ・松本フェスティバルに出演。これまでにクラリネットを藤井一男、山本正治、伊藤圭の各氏に師事。The Narmen Clarinet Ensembleメンバー。藝大フィルハーモニア管弦楽団を経て、2024年6月1日より読売日本交響楽団クラリネット奏者。

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質問項目

Q1.
使用楽器(お気に入りのポイント)
Q2.
セッティング(お気に入りのポイント)
Q3.
理想とする音色のクラリネットプレイヤー
Q4.
 上記プレイヤーの音色や魅力について
Q5.
上記プレイヤーの音色に近づけるために行なったこと
 

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