みんなの使用楽器・セッティング
楽器本体紹介 B♭クラ編
それでは続いて、実際に名前の挙がった仕掛けたちをご紹介しよう。
まずはB♭クラリネットから、本体を見ていこう。特に名前が挙がったメーカーについては、機種ごとの使用率も掲載する。
もっとも大きなシェアを誇ったのは“R13”で、ついで“フェスティヴァル”、“トスカ”、“RC”と続いていく。
価格帯的に近しい機種が並んでいる辺りから、愛好家の方々がどのようなストーリーをもって楽器を購入しているか想像が広がる。
“SEVマスター”、“アーティストモデル”、“カスタムSE”の3機種で全体の過半数を占める。同社のフラグシップ・モデルである“アーティストモデル”を使用されている方もかなりの人数であった。
老舗国内メーカーだけあって機種の数も多く、さらに生産終了となった機種を使用されている方も多く見受けられた。長年の実用に耐えうる高い品質と、その楽器を丁寧に大切に扱っていらっしゃるのであろう愛好家の心持ち、その両方が感じられる。
“ミューズ”から“シグネチャー”まで、同社の中でも高級な機種に偏ったほか、同社の100周年を記念したアニバーサリー・モデルである“サンルイ”を使用されている方も多く見受けられた。
さらに、かの“帝王”ベニー・グッドマンを魅了したという希少品“センタードトーン”の名も挙げられたのは驚きであった。
F.A.ユーベル
スペリオール
エーラー式クラリネットの開発に大きく貢献した名工フリードリッヒ・アルトゥール・ユーベルが興したメーカーがF.A.ユーベル。ドイツの伝統とベーム式の運指を両立させた高品質なクラリネットを製造している。
“スペリオール”は、伝統と革新を融合させた同社の真髄が色濃く現れた、高次元のバランスを持つ名機である。
美ら音工房ヨーゼフ
K10B
その名からもお分かりいただけるように、美ら音工房ヨーゼフは沖縄に本社を構える純国産メーカーだ。
プロフェッショナルモデルである“K10B”は、独自のアイデアが凝縮された逸品である。
バックーン
MoBa
CGカーボン
始まりはバレルの製造からスタートすると、その品質が見る間に話題を呼び今ではトップ・ブランドの一つに名を連ねるメーカーがバックーンだ。同社の約束は「木管楽器の芸術を前進させる」こと。この言葉の重さを説明する必要はないだろう。
“MoBa”と“CGカーボン”はともに同社のカスタムモデルであり、性能は折り紙付きだ。ちなみにCGカーボンについては、その名の通り上下管ボディ部分にカーボンが使われている。
シュヴェンク&セゲルケ
Model1000
ウェルナー・シュヴェンク氏とヨッヘン・セゲルケ氏という稀代の名工が手を組んだメーカー、シュヴェンク&セゲルケ。“Model1000”は世界的ソリストの要望を受けて製造された機種であり、同社の誇る珠玉の逸品である。
H.ヴーリッツァー
100C Soloist
188
185 Boxwood inB
ヴーリッツァー社はドイツの伝統あるクラリネット・メーカーであり、エーラー式クラリネットにおける世界トップクラスのブランドと言っても過言ではない。
すべてハンドメイドで作られたその性能は極上であり、トップ・プレイヤーからも絶賛されている。
ハンマーシュミット
ハンマーシュミット社はドイツの老舗クラリネットメーカーである。
その特徴は、ドイツにありながらベーム式クラリネットを製造していること。しかし、一般的に使われているベーム式の運指を持ちながらその音色にはドイツ管に見られる豊潤な響きが得られ、「ドイツ管よりドイツ管らしい」とされるその音色とともに名を轟かせている。
メタルクラリネット
Pan American Cavalier
よもやメタルクラリネットが出てくるとは思わず、集計の際には少々驚嘆の声をあげてしまった。
その名の通り管体が金属でできているメタルクラリネットは、実は20世紀初頭に一度流行しかけたのだが、結局メインストリームにはなれなかった。Pan AmericanというメーカーのこのCavalierもその時代に作られたものである。
しかしご存じのとおり、現在クラリネット管体の素材であるグラナディラは準絶滅危惧種となっている。対抗策の一つとして、今こそメタルクラリネットを再興させるべきではないか、という向きもあることは触れておきたい。
次に、B♭管と一緒に挙げられることが多かったA管クラリネットを紹介しよう。
ビュッフェ・クランポン
トスカ
フェスティヴァル
トラディション
RC
R13
E11
ヤマハ
SEVマスター
CS
942Finesse
セルマー・パリ
アルティス
レシタル
ミューズ
series10
10G
H.ヴーリッツァー
100c soloist
188
B♭管と持ち替えで使われることが多いためか、B♭管と同じ機種、またはメーカーを使用されている方がほとんどを占めていた。
それでは次のページでは、クラリネットの音色や吹奏感を決定づける大きな要素“マウスピース”を紹介していこう。