フルート記事
西田紀子×多久潤一朗×竹山愛

三響フルート 木管フルート3種を試奏!

Point5 金属製フルートと比較したときの難易度と楽器の選び方

多久 フルートを初めて吹くときに、いきなり木製だったら良いと思いますが、金属製のフルートを経験したあとに木管フルートに移行するのであれば、難易度は上がるかもしれません。少し感覚が違うので。
金属製と木製では“いい音”の概念がちょっと違うと思うんですよ。金属製のフルートを使った演奏を聴いて、木製でそれを実現しようとするのは難しいと思うんです。例えばティン・ホイッスルとリコーダーって仕組みは同じですけれど、出る音色は全然違うじゃないですか。ティン・ホイッスルを選ぶときに、音がカサついた個体は選ばないですよね。艶っぽくてなめらか、まろやかなものを選ぶはずです。逆にリコーダーがパーン!と鳴ったらプラスチックの楽器と同じになってしまうから、木の感じと周りの「フーッ」という音が入って、かつ鳴りの良さも両立できる個体がいい楽器だと思うんです。それと非常によく似ていて、「もっとまろやかで艶があって音も鳴って……」みたいなイメージで木管フルートを選ぶとすごくストレスになってしまいます。音の温かみや広がり、吹くときも力を抜いて吹けるなど、そういう方向を得意とするのが木管フルートだと思います。

竹山 逆も然りですよね。木管フルートのイメージで金属製のフルートを選ぶと、その差はすごくあるのではないかなと思います。そのイメージの違いで混乱してガッカリしてしまうのは勿体ないですね。ある程度の演奏経験を積んで両方吹くのであれば、息のコントロールの術も身についてきて移行もしやすいかもしれませんが、初心者の方やこれからフルートを手にされようと考えている方は、そういった音の雰囲気の違いや吹奏感の違いなどがあることに気をつけて楽器を選ぶと良いと思います。

西田 金属製のイメージなのに木製の楽器を選んじゃうとね。「あれ?」ってなるかもしれませんね。

多久 名前はどちらも「フルート」だし吹き方も一緒だけれど、特徴やイメージを考えたら別の楽器ですよね。その中でさらに木の種類が違うとなると……

竹山 混乱しそう(笑)。でも、まさに多様性の時代! これだけアイテムを選べるというのは幸せな時代ですね!

Point6 三響フルートの魅力

西田 私は金属製のフルートは別メーカーで、木製は三響フルートのピンクアイヴォリーを使わせていただいていますが、音色が魅力。前々から私が生徒さんの演奏を聴いて「いい音だな」と思う方って、大体三響フルートを使っていらっしゃったんですよ。だから潜在的に好きな音なんだと思います。今回木管フルートを使わせていただき、木管五重奏やオーケストラなどで演奏してみて、特にクラリネットとアンサンブルをしたときには、自分の中でも信じられない音がしました。これまで感じたことのない響きの圧を感じたんです。ちょっと他にない衝撃がありましたね。

多久 私たちを見て分かるとおり、華があります(笑)!

西田竹山 (笑)

多久 聴いた瞬間に「うわぁ~‼」って感じる、いきなり電気がついたような、そういう“華”でいうとブッチギリのメーカーなのではないでしょうか。だからやっぱりスターが使う楽器かな?と感じます(笑)。僕は“明るいな”とはあまり思わないんですけれど、突き詰めると華やかになってくる楽器だと思いますね。

竹山 私も三響の輝きや華やかさに魅せられて戻ってきた形になりますが、多久さんがおっしゃるとおりで、なおかつ三響は奏者のパーソナルな部分を受け止めてくれる楽器なのでは、と思います。三響のアーティストさんは皆さん華があると思いますが、それぞれの特徴がよく出ているなと。各自のスタイルが明確に出るところに、三響フルートの奥行きや懐の深さを感じます。木管フルートもこうして種類があって、同じ奏者が吹いてもこれだけ音色が違うから、すごく多様性があって面白いです。

多久 三響プレイヤーはジャズの方もいらっしゃるし、ソロを演奏する方も多いですよね。やっぱり前に出なきゃいけない場面でしっかり出してくれているんですよね。引き込んで勝負するというより、覚悟をもって出ないと持ち味が発揮できない感じがする。使っている楽器で性格も変わるよね?

竹山 変わるかもしれないですね。「みんな行くよー!」と音楽を動かしていくような瞬間にも、三響のフルートは心強いと思います。私自身も、前に出ていくような性格に少しはなったのかもしれない。

西田 乗る車で性格が変わる感じ?

多久 そうそう! まさにそれ!

——皆さん、ありがとうございました!

 

グラナディラ製
[基本仕様]
管体:グラナディラ製
キィメカニズム:銀製・銀メッキ仕上、Eメカニズム標準搭載/カヴァードキィ、リングキィ(2種類)
ジョイント:メタルジョイント仕様、コルクジョイント仕様(2モデル)
歌口:浮かし彫り歌口、トラディショナル歌口、モダンカット歌口(3種類)

[価格]
〈メタルジョイント〉
C足部管1,188,000円(本体価格:1,080,000円)
H足部管1,298,000円(本体価格:1,180,000円)
〈コルクジョイント〉
C足部管1,254,000円(本体価格:1,140,000円)
H足部管1,369,500円(本体価格:1,245,000円)

新製品 ピンクアイヴォリー製 (限定生産)
[基本仕様]
管体:ピンクアイヴォリー製
キィメカニズム:銀製・金メッキ仕上、H足部管、Eメカニズム搭載/リングキィ/オフセット
ジョイント:メタルジョイント仕様

[価格]
2,420,000円(本体価格:2,200,000円)

モパネ製
[基本仕様]
管体:モパネ製
キィメカニズム:銀製・銀メッキ仕上、Eメカニズム標準搭載/カヴァードキィ、リングキィ(2種類)
ジョイント:メタルジョイント仕様、コルクジョイント仕様(2モデル)
歌口:浮かし彫り歌口、トラディショナル歌口、モダンカット歌口(3種類)

[予価]
〈メタルジョイント〉
C足部管1,650,000円(本体価格:1,500,000円)
H足部管1,815,000円(本体価格:1,650,000円)
〈コルクジョイント〉
C足部管1,716,000円(本体価格:1,560,000円)
H足部管1,881,000円(本体価格:1,710,000円)

[発売予定日]2025年

3種共通
[付属品]ケース/ケースカヴァー/掃除棒(カエデ材)/ガーゼ/クロス(ミクロディアFSY)

三響フルートカタログページ
https://www.prima-gakki.co.jp/catalog/sankyoflutes/

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