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大嶋義実×岡崎明義 特別対談「第11回 アジア・フルートコングレス神戸2024」

海外からは何名くらいのフルート奏者がいらっしゃいますか?
大嶋
60名以上は予定していますね。出演者だけで60名以上の方が、台湾、中国、シンガポール、韓国から来るんですが、中国から聴きに行きたいという方々が数十名いらっしゃいます。出演者だけでなく、聴衆としても来てくれます。
そしてコンクールは各国20名ずつ、シンガポールはやや少ないですが、参加者が全員で60名いますので、百何十名というアジアのフルート関係者がいらっしゃるという状況ですね。
アジアのフルート界が一気に神戸に集まるという感じですね。
岡崎
コロナの前から各国で持ちまわりで開催しており、昨日今日始まったイベントではないので、それぞれの国のまとめ役の方は本当にフレンドリーに仲間として皆さん参加してくださいます。一緒に手を繋いでイベントを盛り上げている、特にゲストという扱いはしないところも特徴ですね。 だからこそ絆も深まります。
これはすごく珍しい団体の運営じゃないかなと、僕は思っているんです。今もなおアジア各国でいろいろな事情があるんでしょうけれども、それを超えてこの何十年かやっています。この4年ぶりの開催というだけでなく、世の中ではいろいろ大変な問題が残っている中で、希望や未来というテーマにすごくマッチしたイベントかなと思っています。これは実行委員長の大嶋先生の思いが皆さんに通じているからだと思っています。
あとはやっぱり金先生の存在が大きいですよね。発足時の苦労もあったでしょうし、当時は金先生のお弟子さんが中心になって始めていたようなところはありました。でも今はその思いを持った金先生のお弟子さんではない方たちも一生懸命努力されて、当然お弟子さんたちもそれを喜んで今回もたくさん参加されているので、そういう意味でも珍しいかな。これがうまく続くといいなと思いますし、すごく良い見本だと思っています。
運営に関してご苦労されたことはありますか?
岡崎
運営に関してはみんな素人ですから(笑)。お金があれば専門のいろいろなところに依頼してやれるのだろうけど、今回の運営資金は参加費だけです。文化財団の共催もなければできませんし、先生方の懐の深さと心がないとできません。ようするに手弁当ですよね。
私自身は「フルート業界を盛り上げたい」なんて大きな気持ちがあるわけではありませんが、アジア出身の指導者や演奏者が一つのステージに乗ってワイワイやる様というのは良いんじゃないかなと思っているんです。それが継続されているのが良いですね。毎回、それぞれの国の人たちがみんなご苦労なさっていると思うんですよ。それはもう上海に行っても韓国に行っても、台湾に行っても、そのご苦労が分かります。でもそれも覚悟のうえで継続しているんです。だから皆さんもそのあたりを分かったうえで参加してくるのだと思うんですよね。
大嶋
運営の面で言いますと、コンクール担当の実行委員、コンサート担当の実行委委員、それからマスタークラス担当の実行委員、それぞれ委員のみなさんが、全部手弁当で調整してくださっています。
やはり海外とのやり取りが多くなりますので、例えば「何日までにプログラムを提出してください」と伝えても、そうすぐには曲目の連絡をくれません(笑)。そこからやりとりして当日までにプログラムを作るにしても何にしても、まとめるというのは担当の実行委員の先生方の汗と涙の結晶ですよね。
それこそユ・ユアンさんにしてもミン・ロンファンさんにしても、世界的に活躍されているソリストなわけです。本当にボランティアで来てくれるの?っていうところから始まるんですよね。これが普通の演奏会だったら、日時などの条件をお伝えして音楽事務所をとおして契約しましょう、で済みますが、彼らも手弁当で来てくれますから。いろいろなルートをとおしてコンタクトを取って、出演の確認や演奏曲目などの確認を取るまでも、本当に担当の先生方の努力の賜物です。
アジア圏のフルート奏者同士で友情を深めようじゃないか、未来を見つめようじゃないか、希望を持とうじゃないかとみんなで集まることができるのは、そういうふうに裏で連絡を取ってくださっている先生方がいなければ到底実現できないんですよ。なのでその辺が運営面の苦労としては一番大きいのかなと思います。それぞれ担当されている方がものすごく大変でしょうけれど、この大会の成功のために苦心していらっしゃるということですね。
とても細かいお話をすると、コンクールの参加費一つをとっても、「振り込んだ」と言われて銀行口座をみてみると、参加費から手数料の数百円が引かれていて、ではこの数百円をどう徴収するのか……と。運営はそこから始まりますから。
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