サックス記事 神崎ひさあき Come to me! │ 第1回 サックス記事 神崎ひさあき Come to me! │ 第1回
This issue’s Guest:神崎ひさあきBAND

神崎ひさあき Come to me! │ 第1回

トラブルもハプニングも、すべてがドラマチックで面白い!

多くの方々と多彩な活動を繰り広げられている皆さんにとって、「神崎ひさあきBAND」とはどのような存在ですか?
中道
何が起こるかわからない自由さがある。演奏する曲はそんなにたくさん変えていっているわけではないけれど、今日、何が起こるのか、これから何が起こるのか、それが毎回わからないところに面白さがありますね。
岸田
一言で言うと、「スリリング」ですかね。
石川
本番が、リハーサルが、その日の始まりが、もうそのすべてが毎回ドラマチックで面白い。今日はこの曲をこんなふうにアプローチしようと自分の中で自由に物語を描いたら、それをぶつけることができる懐の深さがあり、反応が返ってきたら次はこうしてみようっていうのがドンドン盛り込める。すごく勉強になるし、自分のスキルアップにもこのバンドがすごく貢献してくれているという意味でも、ほかのセッションにはない存在感があります。それから、神崎さんは、メンバーのポテンシャルを引き出すのがすごくうまいんですよ。
岸田
自分が限界まで出したつもりでも、そこから「もっと出るでしょ、いや、もっと……」という感じで限界以上のものを、常に音楽的な会話の中で奮い出させてくれます。ものすごくエネルギーがいりますね。
神崎
そうすると、僕が一番困ることになるわけ。みんながどんどんエネルギーを出してくるから、それにどう答えようかと、常に油断できないんだよ。予定調和より、どうなるかわからないというハプニングが欲しい。
先日の鎌倉DAPHNEでも、すでにリハーサルから、鮮烈で迫力に満ちたプレイに吹き飛ばされそうでした。
岸田
そうですね、もうリハーサルも本番もないんです。音が出たら、そこでパフォーマンスが始まる。スイッチが入っちゃって……。そういうふうにモードを切り替えないところがこのバンドの特徴かもしれません。
中道
それで、いつも密度が濃いだけに、パッと集まって、ダッと演奏して、機材を片づけたらハイ解散!っていう感じです。
石川
もうライブで出し尽くしちゃいますからね。
神崎
でもそれには理由があって、僕は大学を出てすぐ自分の名前を出したバンドでデビューし、バンドというガッチリした枠組みでやり過ぎて、若さ故に大変だった。最初のデビューから少しブレイクしたので、もう自分の名前で勝負してゆくしかなくなり、バンド活動は、ほとんどリーダーしかやってないし、おかげさまで自分の好きな音楽活動だけで生きてこられたという稀でラッキーな人間なんです。だから「神崎ひさあき」が好きで集まってくれる人たちで、そのほかは、わりと自由な緩い関係でやろうと考えた。それでもうみんな、僕が何を言いたいかをわかってくれています。そしてこのバンドは、悩みながら続けてきて良かったと思えたバンドです。

 

Yoshio Kishida7月2日に鎌倉DAPHNEで行なわれたライブの模様
登場するアーティスト
画像

神崎ひさあき
Hisaaki Kanzaki

高知県出身。青山学院大学卒業後、日本のジャズ・フュージョンブームのスタートとなる「神崎on the road」を結成。1980年、『OPEN MY MIND』でデビュー、その後3枚のアルバムをリリース後渡米。1988年ラス・フリーマン、リッピングトンズ等を迎えアルバム『KANZAKI』をリリース。帰国後は数々のテレビ、CMの音楽制作、プロデュースなどの活動を積極的に行なう。作曲の『SO FAR AWAY』をマイケル・ホワイトがカバー、アルバムタイトル曲としてリリースし、全米ジャズチャート9位にランクインされコンポーザーとしても評価される。マイケル・パウロとのプロジェクト『エイジアン・ソウル・ブラザーズ』での活躍など、国際的な幅広い活動を展開。DJ、クラブイベントのプロデュースなども行なうなど、クラブミュージックシーンでの活動も展開中。http://www.kzsax.net/

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