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THE SAX vol.104[特別全文掲載]
ダウンロード音源連動インタビュー│AKIマツモト&彦坂僚太
音楽というコンテンツを作るために必要なこと
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彦坂さんはYouTubeの動画制作をしていますが、そもそもはどんなきっかけで始めたのですか?
彦坂
中学生のころにニコニコ動画に「吹いてみた」という動画をあげたくてはじめました。その頃は何もわからずいろいろ試していたのですが、中学の卒業式が東日本大震災の日で、外出がままならないので自宅にこもって勉強しました。その後、カラオケ音源を作ったり、友人の審査音源を頼まれて作ったりしました。僕の家はみんなサックスを吹くので「せっかくなら男三人でアンサンブルして録音してみよう!」ということになりました。それまでは動画を作ったりするのは恥ずかしいのでこっそりしていましたが、父も見てくれるようになりましたね。
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大学を昨年卒業されましたが、コロナでエンジニアや動画制作の仕事が多くなったのでは?
彦坂
いきなり増えましたね。昨年の3月に僕の母校の上野学園大学のサックスアンサンブルで演奏会前の合宿があったのですが、合宿地に着いた途端に学校から「新型コロナウイルスのため演奏会は中止」と連絡がきました。東京に戻っても学校に入ることすらできないことになり、急遽合宿地でYouTube動画を作ったんです(https://youtu.be/tNqXVCJoemQ)。父が一度自宅に戻って機材を全部持ってきてくれて、友人にも手伝ってもらって、収録してから24時間で動画をアップすることができました。その後本多俊之さんから「テレワークの動画編集をお願いしたいんだけど」というご相談をいただき、すべて指定させていただきました。テレワークですからメンバーの皆さんが自分で収録しなきゃいけないので、全部こちらで指定して収録していただき、それを元に編集しました(https://youtu.be/H57I80IUWQU)。収録から撮影までやらせていただだいたことをきっかけに、配信や動画制作のお仕事をたくさんいただくことになりました。コロナでサックスの仕事がまったくなくなったのですが(笑)。
本格的にこういうお仕事をさせていただいて、繋がりも増えてきて、いろんな方からアドバイスをいただいています。
本格的にこういうお仕事をさせていただいて、繋がりも増えてきて、いろんな方からアドバイスをいただいています。
AKI
SNSやYouTubeをみて、これもあれも彦坂くんが作っているんだ、と知りました。
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クラシックの奏者で動画や配信に強い人はこれまで少なかったと思います。
彦坂
そうかもしれませんね。僕は作曲もしていますし、もともとなにかを作ることが好きなんです。だからやればやるほど面白くなっています。例えば知的障害者の方でも読みやすいフォントがあるということをテレビ業界の方から教えてもらいました。音楽の動画は音をメインにアップするものですが、動画の作り方で印象が随分変わります。パッと見ただけで演奏曲目が目に入ってくるテロップとか……。動画というのはそれ自体で一つの作品です。音楽の魅力を伝えるために、過剰なお化粧を施した編集ではだめですし。それらすべてを含めて音楽のコンテンツになっています。
この音源が勉強したい人の後押しに
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今回のレコーディングで気を配ったことはなんでしょうか?
彦坂
もちろんマツモトさんの望む音にするのは当たり前ですが、編集部の方から真逆のことをいわれても対応できるようにマイクをセットし、部屋の空間の音も含めて録れるようにしました。
あとは演奏で少しでもいいなと思ったことはすべて言葉で伝えました。エンジニアの中には無口な人もいるのですが、マツモトさんのモチベーションも上がって楽しい気分で収録してもらえればと。
あとは演奏で少しでもいいなと思ったことはすべて言葉で伝えました。エンジニアの中には無口な人もいるのですが、マツモトさんのモチベーションも上がって楽しい気分で収録してもらえればと。
AKI
確かにテイクが重なるとエンジニアの方に遠慮が出てしまいます。そういうときに優しい雰囲気で言葉をかけられるとありがたいです。
私も伴奏しているときには思ったことは口に出すことを最近は心がけています。「ここでいつもはブレスをしているのに今日はしないの?」とか「この音がいつもより短い」「テンポがいつもよりも速いけど大丈夫?」などですが、本人が気づいていないことも多いみたいです。コンクールではちょっとしたことが命取りになります。これはスロヴェニアとディナンの国際コンクールで伴奏をして勉強したことです。口に出してマイナスになることはありませんし、取捨選択するのはソリストの自由ですから。
私も伴奏しているときには思ったことは口に出すことを最近は心がけています。「ここでいつもはブレスをしているのに今日はしないの?」とか「この音がいつもより短い」「テンポがいつもよりも速いけど大丈夫?」などですが、本人が気づいていないことも多いみたいです。コンクールではちょっとしたことが命取りになります。これはスロヴェニアとディナンの国際コンクールで伴奏をして勉強したことです。口に出してマイナスになることはありませんし、取捨選択するのはソリストの自由ですから。
彦坂
思ったことをいつも言ってくださる方だと信頼感も生まれますね。
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本番前は言われて初めて気づくこともよくあります。音源の仕上がりについてはいかがですか?
AKI
クレストンはあれ以上はもう弾けません(笑)。編集した音源を聴いたら、よく弾いたなと思います。
彦坂
仕上がりについては、いつもより音をはっきり聴こえるように作りました。というのは、サックスを吹いていても聴こえるようにしたかったんです。この音源で得られることはたくさんあると思います。これから勉強しようと思っている人の後押しになると嬉しいですね。
AKI
1曲を通して吹けなくてもいいんですよね。
彦坂
そうそう。周りにピアニストがいないけど吹いてみたかった人にもおすすめです。あとチャンレジしたいアマチュアの方にも。
AKI
今号の連載のよもやま話にも書きましたが、3曲とも健太さんが吹かれるくらいのテンポで弾いています。だからこれができれば健太さんと同じテンポです! コンクールに入賞できるかもしれません(笑)。
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ありがとうございました。
【連載「サックス名曲! アンサンブル道場」企画連動 ダウンロード音源】
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