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カドソンの歴史と変遷
飛躍をみせるCadeson
名器カドソンA-92ができるまで
大山 『A-92を持って最初に感じたのは、触るところすべてに角がないことです。キィの外側の部分、指に当たる貝の部分、サイドキィなど全てが非常に柔らかい。右手のサムフックまで柔らかくカドを落とし丸くなっています。これは吹いていて非常にやさしい感じがします。何より驚くのは、分解したものを組み立 てなおすその工程ですね。ここまで行なうからこそ素晴らしい楽器となるのだと思います。』
大山氏が言うように、中島楽器ではバラバラな状態で輸入した92モデルを、すべて手作業により組み立てている。
細部のパーツに至るまで調整を施しながら、なんと4日もの時間をかけて1本の楽器を仕上げていく。その工程の一部をご紹介しよう。
U字管、2番管、ベルをそれぞれ分解し、密着をより確実にするため接合部を平らにしていく。
各パーツひとつひとつ手作業でヤスリがけを行なう。指が触れるほぼすべての部分に施行され、写真のようにキィシェルは、淵の部分にバフを掛け、カドを落とし指触りが良くなるように整えられる。このような手の込んだ作業一つ一つが、上記で大山氏が述べた操作性の良さにつながっている。
2番管とU字管の接合部分、そしてベルとU字管の接合部分をハンダ付けしていく。現在の楽器では、この部分に接着剤が用いられることが多く、手間のかかるハンダ付けはほとんど行なわれていない。ハンダ付けすることで管体、U字管、ベルの共鳴がより確かなものとなる。
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