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誕生から20年を迎えた至高の銘器に魅了されたヴィルトゥオーソたち
須川展也 ヤマハサクソフォンを高みへと導いた世界的スタープレイヤー
ヤマハ YAS-875EX
[調子]E♭
[仕上げ]ゴールドラッカー
[付属キイ]High F♯、フロントF
[ベル]1枚取り
[付属品]ネック:AG1、マウスピース:AS-4CM、ケース:ASC-800E
[希望小売価格]¥555,500(税込)
[調子]E♭
[仕上げ]ゴールドラッカー
[付属キイ]High F♯、フロントF
[ベル]1枚取り
[付属品]ネック:AG1、マウスピース:AS-4CM、ケース:ASC-800E
[希望小売価格]¥555,500(税込)
ヤマハ YAS-875EXS
[調子]E♭
[仕上げ]銀メッキ仕上げ
[付属キイ]High F♯、フロントF
[ベル]1枚取り
[付属品]ネック:AG1S、マウスピース:AS-4CM、ケース:ASC-800E
[希望小売価格]¥610,500(税込)
[調子]E♭
[仕上げ]銀メッキ仕上げ
[付属キイ]High F♯、フロントF
[ベル]1枚取り
[付属品]ネック:AG1S、マウスピース:AS-4CM、ケース:ASC-800E
[希望小売価格]¥610,500(税込)
ヤマハ YAS-875EXG
[調子]E♭
[仕上げ]金メッキ仕上げ
[付属キイ]High F♯、フロントF
[ベル]1枚取り
[付属品]ネック:AG1GP、マウスピース:AS-4CM、ケース:ASC-800E
[希望小売価格]¥1,325,500(税込)
[調子]E♭
[仕上げ]金メッキ仕上げ
[付属キイ]High F♯、フロントF
[ベル]1枚取り
[付属品]ネック:AG1GP、マウスピース:AS-4CM、ケース:ASC-800E
[希望小売価格]¥1,325,500(税込)
どの方向にも行ける柔軟性を持っているアンテナを立てられる楽器
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YAS-875EXの開発がスタートした経緯は何だったのでしょう。どこにこだわって、何を変えた、あるいは変えなかったのですか。
須川
かつてのヤマハは『音が軽い』ということを各方面から言われていて、僕はそれも先入観なんじゃないの、とも思いますけど、それで初代カスタムはとても重厚で豊かな音が出る楽器として作られたのですが、少し僕には重すぎの面もありました。なので、僕は部品を替えたり外したりして軽量化したり、自分の手のサイズに合わせてキィの角度を調整したりとカスタマイズして吹いていたんです。すると、そういった点を落とし込んだポジションも小さめな楽器をヤマハが試作しくれて、とても評判が良かった(YAS-875SPとして限定発売)。それがEXの原点です。管のテーパーなど、基本設計は同じです。
―
金メッキのYAS-875EXGを使われていましたね。
須川
金メッキのほうが、音にエッジが立って主張が出るように感じます。パワーも出ますね。
―
内海さんはいつからサクソフォンの開発を担当されているのですか。
内海靖久
私は2003年の入社で、YAS-875EXの最初の発売(2002年)のすぐ後です。開発に携わったのは第二世代のYAS-875EXからです。
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2015年にモデルチェンジされた、第二世代のYAS-875EXの開発は何を意図してスタートしたのですか。
須川
スタートというより、最初のYAS-875EXが出て間もない頃から引き続いて改良を進めた、という感じでしたね。
内海
基本設計は変えないまま、ポジションがより自然なレイアウトにしたこと、特定の音で出やすいウルフトーンを抑えること。具体的には音孔の大きさを変えています。あとは低音D、E、中音C#のオクターブの音程も再考しました。焼鈍の仕方なども変えました。
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第二世代のYAS-875EXの吹奏感や音色について他楽器とのブレンドなども含めて特徴を挙げるとすると?
内海
須川先生は中音域の音色にもこだわっていらして、ヤマハの楽器はその点は他社とは一味違うぞ、と自負しています。
須川
この音色は何というか『自分自身そのもの』ですね。一言でいえば『柔軟性』。ナチュラルということ。音のブレンドですが、どれくらいブレンドさせるか、あるいは主張するかは常に曲が求めるものにアンテナを立てます。アンテナを立てられる楽器ということは、どちらにも行ける柔軟性があるんです。
また音色については、長年吹いてきて実感することがありまして、良い音だなあと思って吹くと良い音がして、それが聴き手に伝わる、という真理があると思います。
また音色については、長年吹いてきて実感することがありまして、良い音だなあと思って吹くと良い音がして、それが聴き手に伝わる、という真理があると思います。
―
カスタム用ネック(G1、V1、E1、C1)の開発にも携わられたのですね。
須川
はい。E1、C1はどちらかというとジャズ向きで、僕はV1を使っています。高音域の音程がよりしっくり来たことと、ヨーロッパ向けと言われるV1を知っておいたほうがいいかな、と思いました。
内海
C1は細管、E1はミドルサイズです。G1とV1は内径が同じ太管で、ボアの形状が異なります。
最終的にはジャンルを問わずあらゆる人のインスピレーションを刺激したい
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現在ご使用の、赤い塗装の楽器についてお話しくださいますか。
須川
昨年の7月25日に還暦を迎えたのですが、藝大等で昔教えた生徒たちがお金を出し合ってプレゼントしてくれました。誕生日の夜に、予告なしに福井健太君と國末貞仁君が我が家を訪れて、持ってきてくれたんです。びっくりしましたし、嬉しかったですね。
内海
それ以前から、福井さんを中心にした皆さんから赤い楽器を一本特注で作ってほしいということでシークレットに話が進んでいました。当初はYAS-280で、ということだったのですが、それだと実際に本番で使ってはいただけない記念品的なものに終わってしまうので、YAS-875EXでやらせてもらえないかと提案しました。結果的にこんなにたくさんの本番で使っていただけて私も本当に感謝しています。
須川
よい生徒に恵まれた幸せを噛みしめながら演奏しています。その『幸せ』が音に乗るんです。さっき申し上げた、自分が本当にいいと思って吹くからいい音がするという、それですね。
―
本当にそうですね。さて、発売から20年を経て、国内外で多くのプレイヤーがYAS-875EXを愛用するようになりましたが、開発当初は現在の状況を予測していましたか?
須川
ヤマハは良い音がするなあ、これが世界に認められてほしいなあ、と初代カスタムの頃から思いながら吹いていましたね。感慨深いです。
内海
先人たちが築き上げ、そして今の我々開発陣が引き継いで作り上げたヤマハのこだわりを、須川先生はじめトッププレイヤーの皆様が認めて使い続けてくれた。その演奏を今の若手トップ奏者をはじめ多くの方たちが聞いてヤマハの良さを知ってくれた、ということだと思っています。
―
YAS-875EXはジャンルを超えた表現ができる楽器だと思いますが、今後どんな分野、どんな奏者に使っていってほしいと考えますか。
須川
ジャンル、というよりは、人ですね。YAS-875EXはクラシック向きで、同じヤマハのYAS-82Zはジャズ向きと言いますが、そもそもクラシックって何なのか、ジャズと言ってもいろいろあるでしょ、という話です。最終的にはジャンルを問わずあらゆる人のインスピレーションを刺激したい。楽器を吹く楽しさそのもの、マニアックな楽しさや、一緒に吹いて何かをする楽しさ、そんな楽しみ方そのものを一緒に考えて追求して行きたいですね。
登場するアーティスト
須川展也
須川展也
Nobuya Sugawa
日本が世界に誇るサクソフォン奏者。そのハイレベルな演奏と、自身が開拓してきた唯一無二のレパートリーが国際的に熱狂的な支持を集めている。デビュー以来、長年にわたり同時代の名だたる作曲家への作品委嘱を続けており、その多くが国際的に広まっている。近年では坂本龍一『Fantasia』、チック・コリア『Florida to Tokyo』、ファジル・サイ『組曲』『サクソフォン協奏曲』等。東京藝術大学卒業。第51回日本音楽コンクール、第1回日本管打楽器コンクール最高位受賞。出光音楽賞、村松賞を受賞。98年JTのTVCM、02年NHK連続テレビ小説「さくら」のテーマ演奏をはじめ、TV、ラジオへの出演も多い。89年から2010年まで東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターを務めた。最新CDは16年発売の「マスターピーシーズ」(チック・コリア/ファジル・サイ/吉松隆)。トルヴェール・クヮルテットのメンバー、ヤマハ吹奏楽団常任指揮者、イイヅカ☆ブラスフェスティバル・ミュージックディレクター、静岡市清水文化会館音楽アドバイザー&マリナート・ウインズ音楽監督。東京藝術大学招聘教授、京都市立芸術大学客員教授。