サックスを始めたきっかけ
2010年3月25日に発刊したTHE SAX最新号(40号)の表紙を飾ってくれたGAMO、谷中敦の両氏。東京スカパラダイスオーケストラのフロントを務めるサックス隊の2人が、サックスを 始めたころから今に至るまで、どのように“練習”を積んできたのか、またどんな壁にぶつかったのか、そんな裏話を聞かせてくれた。
サックスを始めたころにぶつかった壁
GAMO 最初のころは、単純に楽器を持ってるだけで疲れちゃうというか(笑)。1時間も吹いていたら頭痛くなっちゃう。何なんだろう、これはと、悩みましたね。ストラップにタオルをまいてみたりしたこともありましたっけ。最近は良いストラップを見つけたんだけど、意外とそういった単純なことで、吹きたいんだけどやめちゃってたことができるようになったというか……。
奏法に関しては、今はインターネットが普及して“YouTube”などでいろんなミュージシャンの映像が見られますよね。それを見て、「こういう風に吹いているんだ」って参考になったり、これは以前からですけど、よく人のライブに足を運んで生の音を聴いてきたので、そこからイメージできることもあります。今はいい時代ですよね。CDなんかで音を聴いて「この人はどうやって吹いているんだろう」と興味が湧いた時、簡単に楽譜も手に入るし、チェックできる。僕自身も、壁にぶち当たったら他の人の映像などを見て研究しますね。昔は情報がなかったから、なかなか頻繁に人の演奏を聴くことはできなかったんですよ……。
谷中 僕はずっと壁ですね(笑)。なにしろバリトンから始めるケースも、当時はなかったと思いますから。しかもスカでね。ただ、サックスはすぐに音が出ますから、それはいいですよね。金管楽器はある程度マウスピースだけで練習してからじゃないと……っていうイメージがあるじゃないですか。サックスはすぐに音が出るから、逆にそこからどう抜け出せばいいか最初はわかりづらいと思うんですが、僕は「倍音練習が大事なんだ」とわかってからすごく音が豊かになって、吹くのが楽しくなってきました。きっと皆さんもそうじゃないかな。
谷中 何しろ僕は、バンドに入ってから楽器を始めたので、現場で覚えてきている。スカパラが20周年ということは、僕のサックスキャリアも20周年というおかしなことになっているんです(笑)。最初はインチキ~みたいなことだったのが、合奏での練習成果をさらに合奏で見せるということを繰り返しているので、遅いスタートではありましたけど、なんとかできているのかなと。それはすごく幸せなことだと思います。ひとりじゃなく常にみんなで音を出すわけですから。
GAMO 結成当時、谷中のバリトンはスカ特有の裏打ち担当という感じが多めだったので、体力勝負みたいなところがあったんですが(笑)、だんだんとフレーズも吹き始めて、10数年くらい前にいきなり谷中が猛練習し始めたんですよ。メンバーがびっくりするくらい、とにかく練習しまくってたよね。
谷中 3、4年くらいはそうでしたね。ちょうど事務所のスタジオができて、そこを自由に使っていいよと言われたので。時間があったら全部サックスの練習に費やしてました。練習の仕方が判ってからは、目的も明確だし、「変わる」のが目に見えてわかる。それがすごく楽しかったですね。