サックス記事 矢野沙織&菊地成孔 Wood Stone New Vintageを語る
  サックス記事 矢野沙織&菊地成孔 Wood Stone New Vintageを語る
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THE SAX vol.113 Cover Story

矢野沙織&菊地成孔 Wood Stone New Vintageを語る

ARTIST

16歳でデビューし今年20周年を迎える矢野沙織と、ミュージシャン、作曲家、文筆家として多岐にわたって活躍中の菊地成孔。2人は楽器本体だけでなく、マウスピースやリード、ストラップまでWood Stoneというヘビーユーザーだ。そんな2人が愛用する楽器Wood Stone New Vintageの魅力について語ってもらった。加えて矢野が自身のプロジェクトHouse of Jaxxよりニューシングル「Cauldron Burn」をリリース。ニューシングルの制作秘話からお二人の出会いなど盛りだくさんのインタビューとなった。
写真:河野英喜(エントランス)/取材協力:株式会社石森管楽器

出会いはウイスキー

お二人の出会い、初めて会われたときのことをお伺いできたらと思います。
菊地
矢野さんがデビューしたときからお名前とプレイは知っていました。2人で一緒に仕事をしたのは、タワーレコードとサントリーがタイアップして「音楽とウイスキー」をテーマに展開した広告企画「NO MUSIC, NO LIFE. NO MUSIC, NO WHISKY.」でした。それでお会いしたんです。
矢野
ウイスキー始まり(笑)。楽器片手でね。私はもともと当然存じ上げていましたけど、本当に菊地さんが在るのかなってワクワクして行ったことはよく覚えています。
菊地
ギリギリ本当に在るんだよね(笑)。

もう手放すことができない、操作性の良さ

お二人とも共通してWood Stone New Vintageを愛用されていますが、現在お使いのモデルで感じることとはなんでしょう?
矢野
私の暴走を止めてくれるウェルメイドプレイな楽器だと思う。これの他は普段CONN Conqueror 26Mを吹いているのでCONNと比べてというお話にどうしてもなっちゃうんですけど、CONNって機嫌の良し悪しがあって一緒になって暴走しちゃうことがあるんですが、彼女、Wood Stone New Vintageはそうならないので非常に使いやすいですね。私のCONNって遠鳴りする楽器というかストレートに鳴らない。これはそんなことなくて、すごくよくできている楽器だなあと思います。
菊地さんはどうですか。前はMARTIN Committeeをお使いでしたよね。
菊地
アルトはMARTINの1950年で、テナーはアメリカンセルマーの12万番台をずっと使っていました。だんだん自分のプレーに飽きてきて、楽器を替えようかなと思ったときにちょうど石森管楽器さんがタイミングよく新しい楽器を開発中だということで、試奏させていただきました。車と同じで60年代ヴィンテージカーにハマった人が国産車のEVカーに乗っちゃったら、「もう手放せません」となる。あれとまったく同じで、操作性もいいし、装置が入って制御してるんじゃないかと思うくらいピッチも良いんです。
矢野
私の能力のせいもあるけど、ピッチがすごく取りやすいです。
菊地
鳴りの感じも均質で、ピッチも安定していて、そうなっちゃったら味気なくてつまんないのかなと思っていたんですね。ヴィンテージのほうがガチャガチャしていて良いのではと。実際存在するとこっちのほうがいいなって。指にかかる負担や、首や唇にかかる負担がヴィンテージの半分ぐらいで。すごくびっくりして。もう、いただきます!って(笑)。
ヴィンテージの負担というのはどのようなものですか?
菊地
ヴィンテージってのは、なんて言うんですかね。中古車、ヴィンテージカーと一緒で、部品が駄目だったり、均質じゃない。古いものを無理に動かしてるわけだから。オーラはあるけど機能性は下がります。あまり比べるものでもないんだろうけど。どうしても国産の新車に手を出すっていうアイデアが全然なくてね。だけど乗ってびっくりという感じ。

次ページにインタビュー続く
・人工的に作られた未来の物でありながら、音質に渋さがある
・たくさん言えるからビ・バップとラップをやる

菊地成孔使用
Wood Stone
Alto Saxophone New Vintage SP
菊地成孔使用
Wood Stone
Tenor Saxophone New Vintage VL
 
菊地成孔:使用楽器
〈アルト〉
Wood Stone Alto Saxophone New Vintage SP(シルバープレート)F♯キィ付
マウスピース:Wood Stone STUDIO DELUXE
リガチャー:Wood Stone Solid Silver(総銀/メッキなし)
リード:Wood Stone2½番

〈テナー〉
Wood Stone Tenor Saxophone New Vintage VL (ヴィンテージラッカー)F#キィ付
マウスピース:Wood Stone Traditional Jazz
リード:Wood Stone 2½番
 
矢野沙織使用
Wood Stone
Alto Saxophone New Vintage VL


矢野沙織:使用楽器
〈アルト〉
Wood Stone Alto Saxophone New Vintage VL(ヴィンテージラッカー)
マウスピース:Wood Stone Traditional Jazz プロトタイプ(初期)
リガチャー:Wood Stone Solid Silver
リード:Wood Stone 3番
 
 
登場するアーティスト
画像

菊地成孔
Naruyoshi Kikuchi

1963年、千葉県銚子市生まれ。音楽家/文筆家。音楽の分野においては、ジャズを中心に多岐ジャンルに渡ってバンドリーダー、プロデュース、作曲もこなすサクソフォン奏者として多くのステージに立つ。文筆家としては音楽や映画、格闘技、モード、食などのエッセイや批評を執筆。ラジオパーソナリティ、DJとしても活躍している。2013年、個人事務所株式会社ビュロー菊地を設立。

登場するアーティスト
画像

矢野沙織
Saori Yano

1986年東京出身、9歳のときブラスバンドでアルト・サックスを始める。チャーリー・パーカーに衝撃を受けジャズに傾倒、14歳でビリー・ホリデイの自叙伝に感銘し、自らジャズクラブに出演交渉を行なってライブ活動をスタート。 ジャズの名門SAVOYレーベル日本人アーティスト第2弾として2003年9月、16歳でセンセーショナルなデビューを飾る。日本にとどまらずニューヨークでもライブを重ねる一方、テレビ朝日系「報道ステーション」テーマ曲に起用され、世に新世代ジャズの到来を知らしめた。 ジミー・コブがブルーノート・ツアーで共演した際には、「日本のキャノンボール・アダレイ」と絶賛。ニューヨーク2日間公演でも本場オーディエンスを圧倒し、初のライブ盤として発売。 2007年春、花王“ASIENCE”の新たなアジアンビューティとしてCMに登場。同CMで使用されたオリジナル曲「I & I」を収録したベストアルバムは、第22回日本ゴールドディスク大賞ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞。

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