僕はまさに矢野さんと真逆で、僕のガタイでテナーはでかいんですよ。もう10センチ身長が高いほうがテナーは吹きやすいなって思うんだけど。だから、大きめに吹こうとしたときにかかる負荷は大きい。だけどWood Stone New Vintageはちょっとした反応がでかいので、ちょっとリードを鳴らすと“バッ”て出るから、僕的にはパワフルな楽器でもあって。だからそんなに無理して吹きこまなくてもしっかり鳴る。さらに下のほうと上のほうで音色が変わってしまうこともないし、パワフルかつとにかく均質なんだよね。サックスの音がある意味キーボードみたいな感じで。そんな言葉で喋っちゃうと非常に味気ない感じがしますけど、音質に渋さもあって理想的なんです。極端に言うと人工的に作られた未来のもの。だから「New Vintage」て言うんだと思うけど。
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現在お二人がお使いのセッティングを教えていただいてよろしいですか。
矢野
サックスはWood Stone Alto Saxophone New Vintage VL。マウスピースはWood StoneのTraditional Jazz Model初期のプロトタイプです。もう20年ぐらい使っています。リガチャーはWood StoneのSolid SilverでリードもWood Stoneの3番です。
菊地
アルトは、Wood Stone Alto Saxophone New Vintage SP。マウスピースはWood Stone STUDIO DELUXEで、リガチャーはWood Stone Solid Silver。リードはWood Stoneの2.5番です。
話をしたりはしてますけど、具体的には何をしますということはまだ決まっていません。歌ったことはあります。 1回もサックスで共演したことない。ぼくそんなにサックスの人と一緒にやったことないんですよ。House of Jaxxもそうなんですけど、純正のビバッパーっていうのはなかなか難しい。例えばビ・バップのレコードを出して全国を回ってお金を稼ぐってのは簡単なようで難しいし、アルバムを出し続けて活動を続けるっていうのも難しいし、そうしたら結果として、純正ビバッパーだったのが、だんだん混ぜ物が多くなってきてしまう。矢野さんはプレーがもうビ・バップなんですね。はっきりとしたビ・バップっていう素材なので、ほかの素材との組み合わせがはっきりとわかる。サックスはこれですっていうのがあったほうがいろんな音楽性とレイヤーするには向いてるんですよ。だから僕は矢野さんのHouse of Jaxxが 本当に素晴らしいなと思いました。