Bach Trumpet 人気12モデルを 長谷川智之さんがレコメンド
世界のトランペット奏者に愛用されるブランド「Vincent Bach」は、常にトランペットのトップブランドであり続けている。そんなBachトランペットB♭管、C管、ピッコロトランペットの人気機種12本を長谷川智之さんに、各モデルを試奏してもらいその特徴や魅力を語ってもらった。
世界のトランペット奏者に愛用されるブランド「Vincent Bach」。トランペットにおけるストラディヴァリウスと評され誕生した1924年以来、100年もの長きに渡り受け継がれてきた伝統と革新を続け、常にトランペットのトップブランドであり続けている。
そんなBachトランペットB♭管、C管、ピッコロトランペットの人気機種12本を、NHK交響楽団首席トランペット奏者で、前項のインタビューでもご登場いただいたBach Artists Japan 匠のメンバーとして活躍する長谷川智之さんに、各モデルを試奏してもらいその特徴や魅力を語ってもらった。
B♭管
01 Stradivarius 180ML37 GL
音色は明るくクリアです。ラッカーがかかっているので響きにまとまりがあります。 SP(シルバープレート)の場合は、本体もメッキ仕上げも金属なので、響きが解放されて広がっていく印象です。対して、このラッカー仕上げは、一定の枠の中でコンパクトに響いて、音の輪郭がはっきりしています。抵抗感は少なく、吹奏感は軽やかでレスポンスが良いですね。ソロはもちろん室内楽などのシチュエーションに良いと思います。
ベル材質・仕上げ:イエローブラス・ラッカー仕上げ
ボアサイズ:ML
ベル・マウスパイプ:#37・#25
本体価格:¥480,700(税込)
02 Stradivarius 180ML37 GB
37GLと同じラッカー仕上げで、音にクリアさがありますが、クリアな中にも赤ベル特有の重厚さが加わり、温かさが増す印象です。大きな音量で吹くと、黄ベル(イエローブラス)は、高次倍音を多く含む音色で、こちらの赤ベル(ゴールドブラス)は、音の芯がはっきり出ます。おそらく材質の違いによるところでしょう。抵抗感も少し増して、レスポンスも黄ベルのような軽やかさというよりは、鳴らすのに少し圧が必要といった印象です。
ベル材質・仕上げ:ゴールドブラス・ラッカー仕上げ
ボアサイズ:ML
ベル・マウスパイプ:#37・#25
本体価格:¥491,700(税込)
03 Stradivarius 180ML37 SP
イエローブラスの材質で、SPの仕上げに慣れているので、とても吹きやすいですね。材質もメッキの仕上げもすべて金属なので、響きが多いように感じます。クリアさが際立つというよりも音色に含みを持っていて、はっきりした音から柔らかな音、暗い音から明るい音というように音色に変化がつけやすく、表現の柔軟性に富んでいます。抵抗感は黄ベルのラッカー(試奏No.1)よりは若干多くて、赤ベル(試奏No.2)よりは少ないです。
ベル材質・仕上げ:イエローブラス・銀メッキ仕上げ
ボアサイズ:ML
ベル・マウスパイプ:#37・#25
本体価格:¥438,900(税込)
04 Stradivarius 180ML37 GBSP
落ち着きと柔らかさを兼ね備えた温かみのある音色です。黄ベルと赤ベルでは、音の広がり方に違いを感じます。黄ベルは一定の枠の中で響く感じで、こちらの赤ベルは、音の芯の響きそのものが広がっていき、まとまりのある深い音色という印象です。音の芯自体が太いのが赤ベルで、黄ベルは、赤ベルほどの芯の太さはないけど、その分高次倍音を含んだ響きを持っています。抵抗感も赤ベルはやや強めで、音の立ち上がりやレスポンスに、より強めの圧が必要な印象です。
ベル材質・仕上げ:ゴールドブラス・銀メッキ仕上げ
ボアサイズ:ML
ベル・マウスパイプ:#37・#25
本体価格:¥529,100(税込)
05 Stradivarius 180ML37 GP
黄ベルのSP(試奏No.3)以上に、より響きが増して倍音の多い音色ですね。反応はSPと変わらない印象ですが、音色は、高次倍音も真ん中も低い倍音も、すべての響きが均等に増している印象です。同じ黄ベル同士、音の本質的なフォルムは同質ですが、メッキ仕上げの違いで、GPは華やかな倍音を纏っている印象です。黄ベルと赤ベルでは、そもそも持っている音のフォルムが違います。赤ベルは芯があり、直進するような音色。黄ベルは枠の中で広がる響きを持ちつつ、クリアな音色の特徴です。その中でもGP仕上げは特に華やかな音色の特徴です。
ベル材質・仕上げ:イエローブラス・金メッキ仕上げ
ボアサイズ:ML
ベル・マウスパイプ:#37・#25
本体価格:要問い合わせ
06 Elkhart 50th Anniversary 37 SP
Stradivariusモデルとの違いとして、バルブケーシングが洋白と真鍮の2ピースで、ベルのラウンドリム内部にはブラスではなくスチールワイヤーが入っています。そんなヘヴィな作りに見えて、重量はStradivariusとほとんど変わらず、パッと吹くと抵抗感は少し強めに感じるかもしれませんが、反応は速くレスポンスに優れています。1枚取りベルの繋ぎ目がサイドシーム仕様のためかもしれません。音の輪郭はしっかりありつつ芯が太く、密度のある音色です。ただ、音色よりも吹奏感の違いのほうが大きくて、コントローラブルで、繊細な表現に長けています。黄ベルの広がりのある響きを持ちつつ、強く吹いても音が散らないのが特徴です。
ベル材質・仕上げ:イエローブラス・銀メッキ仕上げ
ボアサイズ:ML
ベル・マウスパイプ:#37・#25
本体価格:¥610,500(税込)