吹奏楽で使用されている金管楽器、木管楽器、打楽器のことや、 練習方法、演奏技術、さらには上下関係まで、 吹奏楽に関するみなさんのお悩みを解決する「吹奏楽 お悩み相談室」。 Wind-i miniでは、みなさんのお悩みを随時募集中!
管楽器を吹くにあたって、避けては通れない永遠の課題が「呼吸法」です。 呼吸法が変わるだけで見違えるような音色になることもあります。 新入生にしっかり教えられるよう、今のうちに見なおしてみませんか? 東京吹奏楽団のサックス奏者、原ひとみ先生に詳しく教えていただきました。
息を吸うときは体をリラックスした状態にしましょう。そのときに体に余計な力が入ってしまったら……たっぷり息が吸えません。「腹筋でしっかり支えて!」とはよく聞く言葉ですが、息を吸うときにはリラックスすること、これがお腹の支えを作る第一歩です。
楽器を吹いているうちに、だんだん息が少なくなってくるにつれて、お腹の下のほうに力を入れます。そうすると、残っていた空気が押し出されてきますから、もう少し息が伸ばせるのです。
マヨネーズのチューブをイメージしてください。たくさん中身が入っているうちは、少し押すだけで出てきますが、残り少なくなったら……? 底のほうに指で力を加えて押し出しますよね。息は指や手で押し出すわけにはいかないので、腹筋を使って押し出してあげるのです。
腹筋の力の感覚をつかんだら、次に「3+2+15=20秒呼吸法」にチャレンジしましょう。「3+2+15=20秒呼吸法」とは腹式呼吸を意識するための練習法です。
①3秒かけて息を吸う
②そのまま2秒息を止める
③15秒かけて吐く
①は問題なくできると思いますが、②の吸った空気を体の中に留めるには腹筋の力が必要です。息を留めるときにお腹の力の入り具合を感じてください。そして③では15秒間かけてゆるく、口笛を吹くように吐き出します。腹筋が緩むと息は一気に外に出されてしまいますから、息を一定の量で吐き続けるにも腹筋の力が必要です。また息を吐き終える最後のほうは勢いが弱くなって、出しにくくなります。そうなったら少しずつ腹筋の力を強めるようにすると、空気を最後までしっかり出すことができるのです。
「どんな息の状態で音を出せばいいか」は難しい問題ですよね。どんなに気をつけていても“息”そのものの質がよくないと、よい状態の音色を出すことはできません。そこで今度は、「空気をしっかり集めて圧力をかけて、よい息を出す方法」を考えてみましょう。 鼻をつまんで、口を閉じた状態で息を出してみましょう。息は身体から出ていきたいのに鼻と口は閉じているから、どんどん体の中が張って膨らんでくる感じがするはずです。楽器を吹くときには、体の中がこれと似た状態になっていると響きの良い音を出すことができます。楽器を吹くときの身体は「ポンプ」と「ドーム」の役目を持つことで、良い響きを作ることができます。そして良い響きを出すためには、アンブシュアも大切な要素なのです。 皆さんは夏には海やプールに行きますよね? そのときにビーチボールを使って遊んだという人もいるでしょう。 ビーチボールを空気でパンパンにふくらませて、出口を指で押さえます。その指の押さえ加減を緩めたり締めたりすると、空気が勢いよく出たり、逆にスムーズに出なかったりしますよね。そのビーチボールを身体、栓をアンブシュアだと想像してみてください。空気をどう出すかは、アンブシュアとの関係によるということがわかりますよね! そのときに自分の体がしっかり共鳴するようなコンディションになっているかチェックしましょう。