◆テナー・サックス:林田和之 Kazuyuki Hayashida
尚美学園短期大学を経て、東京コンセルヴァトアール尚美ディプロマ・コース卒業。第2回アドルフ・サックス国際コンク-ル第6位。第16回日本管打楽器コンクール第1位。主宰するフェロー・サクソフォーン・カルテットがバロックザール賞を受賞。ソロ・アルバムに「 LESSONS OF THE SKY」、雲井雅人サックス四重奏団のテナー・サクソフォーン奏者として5枚のアルバムをリリース。現在、尚美ミュージックカレッジ専門学校ディプロマ・コース、尚美学園大学、各非常勤講師。
Q.アルトとテナーでアンブシュアは変えるべき?
テナーで1曲演奏すると口が痛いです。アルトの時とアンブシュアを変える必要はありますか?
A.アパチュアのサイズ調整がポイント
アンブシュア(見た目の形)は変えなくて良いです。アパチュア(空気の通り道=マウスピースとリードの隙間)はアルトに比べて少し大きくなると思ってください。
口が痛いのは、噛む力が強くなっているからです。
音色は息の量、息のスピードとアパチュアのバランスで作られ、アパチュアのサイズは上の歯と下の歯の距離(=噛む力と開ける力のバランス)で保持します。
アパチュアのサイズを変えるための筋肉は顎関節まわりにありますので、鏡を見ながらどこを動かせばアパチュアが変わるのかを理解して、取り組んでみてください。
Q.ほかの楽器とハーモニーのバランスをとるには?
吹奏楽ではトロンボーンやユーフォニアムとハーモニーを作ることが多いのですが、バランスがうまくとれません。ハーモニーのバランスのとり方を教えてください。
A.息のスピード、リード選びも重要
吹奏楽での他楽器との音色の混ぜ合わせ、バランス作り、テナー・サックスは特に難しいかもしれませんね。リードの表面積が大きくて音の鳴りやすい楽器なので、混ぜ合わせたいときには吹きすぎないように息のスピードも量も落としてみましょう。
また、柔らかすぎるリードを使うと音が立ちすぎて混ざらなくなるので、注意が必要です。柔らかいリードは吹きやすくて低音も発音しやすいので、つい選びたくなるのですが、少し硬めのリードを使ってみて、優しい音色が鳴る、ちょうど良いリードを選べるようになりましょう。
Q.正しい姿勢、ストラップの長さが知りたい
吹いていると身体が痛くなります。正しい姿勢と適正なストラップの長さを教えてください!
A.まずは鏡の前でチェックを
楽器が重たいので、やはり身体への負担は大きくなりますね! まず良い姿勢を保ってストラップを上げて、マウスピースの先端が下唇より少し下に来るように調節してください。マウスピースをくわえたら少しアゴを引くようにして、上の歯を安定させます。決して身体が楽器を迎えに行かないように注意してください。ストラップの長さが長すぎると、マウスピースをくわえたときに背中が丸まってしまいますし、短すぎるとアゴが上がり深くくわえやすくなって音色が開いてしまいます。大きな鏡の前で正面を向いたり、横を向いたりしながらチェックしてください。
Q.これだけはやっておきたい!
テナー・サックスでこれだけは気をつけてほしい、この練習はしてほしいものは?
A.オクターブ上の音のピッチコントロール
テナー・サックスは高音の発音、音程、音色のコントロールが非常に難しい楽器です。オクターブ上の音のピッチコントロールできるように練習して楽器に慣れてください。オクターブ上の音程が下がる場合はリードが柔らかい・アパチュアが広い可能性があります。オクターブ上の音程が上がる場合は、それが正常ですので音程を下げる方法を教えます。
●音程を下げる方法
1. アパチュア(息の通り道。サックスの場合はマウスピースとリードの隙間)を広げる
2. 息の向きを下向きに(下アゴを手前にずらす=口の中に入るリードの面積を小さくする)
3. 息のスピードを速く(舌の位置を上に、口の中を狭く) 等
音色はオクターブの音程ができてくれば、落ち着いてくるはずです。これはどのサックスにも言えることですので、ピッチコントロールはぜひ試してみてください!