①音の立ち上がりが鈍い(息の初速が遅い)
擬音にすると、「も…も…も…」という感じでしょうか。そうならぬよう、タンギングをしたと同時にトップスピードの息が放り込めるように練習を重ねましょう。タンギングの強さに頼らないように! コントラバスは手元のほうで弓を短く使い、軽快さを出しましょう。
②表現がない、または歌を感じていない
流れるようなメロディに対し、「バッ!ボッ!バッ!ボッ!テンポど〜おりっ!」と伴奏してしまっては合いません。メロディのフレーズ感、質感、音の向かう方向に合わせて同じ気持ちで伴奏しましょう。簡単に言えば、頭の中でメロディを歌いながら合わせて吹いてみましょう、という感じです。
さあ、表と裏を合わせてみましょう! ズレてしまいましたか? ズレてしまった場合、大概は表打ちが疑われます。裏打ちは8ビート、表打ちは4ビートなので、表はルーズになりがちです。裏を感じながら表を打たないと、裏打ちは吹きづらく感じてしまいます。
●第2マーチの部分(ⅠもⅣもCの場面)では、中低音の勇ましいメロディがあります。が、ここも[重くて遅い]ポイントになってしまいます。やはり8ビートで細かくカウントを取りたいのと、大切なのは息の初速です 。
●今回はどの課題曲もトランペットが鍵になります。1st 以外にも独立して動く2nd、3rd があったり、ベルトーンがあったりソロがあったり……。初心者の1年生を3rd にして、音を隠すといった工夫は通用しなさそうなので、しっかり練習させてください。
●課題曲ⅠとⅡではミュート(弱音器)を使用します。ミュートの種類に指定がない場合はストレートミュートでいいでしょう。しかしその中でも様々な種類があります。木製、金属製、形状に至るまで様々。せめて音色の統一を図るためにも全員で同じものを使用するようにしましょう。何を選ぶかは音色と吹奏感で決めていいでしょう。
課題曲ⅠではGの1小節前がこの曲最大の難所です。およそ3拍間でミュートを取り、すぐに冒頭のファンファーレを吹かないといけません。慣れてないうちはかなりの練習回数が必要です。ミュートを床に置く暇はないので片膝の裏で挟むか、両膝の間に挟みましょう。太ももの上に置いただけだと転がってしまうことがあります。トランペットが4人いるなら1人は次に備えてもいいですね。
●よく、ミュートしたらチューニング管を入れる人がいますが、ちゃんと息を入れて鳴らしていればほとんどその必要はないです。今回に至っては戻している暇がないですが。しっかり息を通して、ニーニーと金属音を鳴らしましょう!
●課題曲Ⅰの終わりのソロですが、直前のトゥッティの音色を引きずらずに、落ち着いた音色で入ってください。トランペットパートが4人いるならミュートと同じ対策をしてもいいかもしれません。が、I の1小節前1拍目までは盛り上がっている部分なので、できれば全員で吹いておきたいところです
A・B:この旋律はこの曲のメインテーマ。しっかりと動きをそろえていきたいですね。
B:アウフタクトからはTpが、5小節目アウフタクトからは高音木管が、そして7小節目アウフタクトからはA.Cl、T.Saxが旋律に加わります。音色の変化も聴かせどころです。またグロッケンが旋律の途中から加わります。打楽器と管楽器という違いもあり、タイミングがずれやすいので注意が必要です。
C:アウフタクトから低音が旋律です。歌心のある堂々とした演奏にしましょう。5小節目アウフタクトからはFlとA.Saxによる旋律。先ほどの低音旋律との対比を出したいところです。7小節目アウフタクトからは低音以外はすべて旋律系の動きになります。キチンと集合した感じを見せたいですね。音が重なり合って和音になっていますので、音程もチェック。
D:AやBと同様ですが、A.Cl とT.Saxに、これまでになかったオブリガードの動きが登場します。朗々とした歌い上げが必要ですが、歌い過ぎにも注意が必要。金管で同じ動きのHrn、Euphとは、発音の違いからタイミングがずれやすいので気をつけて。
Trio:F-dur からB-dur に移行します。調性感の切り替えを明確に。うまく切り替わらない時は、B-dur の音階やカデンツなどで響きを確認しておきましょう。
E:アウフタクトからCl とSax による美しい旋律が始まります。ソフトな音色でしっとりと歌い上げましょう。4小節目アウフタクトのPicc とFl はキラキラ感のあるサウンドで。グロッケンとのタイミングにも注意。9小節目からのT.Sax のオブリガードは、Euph と同じ動きになります。演奏人数は少ないですが存在感が欲しいです。
F:アウフタクトからは高音木管が旋律に加わるので、より華やかな雰囲気が出せると良いでしょう。9小節目アウフタクトからは一瞬短調となりつつ展開していくので、サウンドの雰囲気を変化させつつ、単調にならないように心がけてみましょう。
G:ここからは冒頭のテーマが繰り返されつつめまぐるしく調性が変化していくので、一つひとつの調性に対する音の重なり方を丁寧に確認しながら練習を進めてください。アウフタクトからの低音は存在感が欲しいところですが、ただ音量を上げるのではなく、8分音符の音程も一つひとつ丁寧に確認して、調性感のある動きを表現できると良いですね。
H:ここからの旋律はTrioと同様ですが、アーティキュレーションは変わっていくので、違いをハッキリと表現して快活な雰囲気で。9小節目アウフタクトからはF9小節目アウフタクトと同様ですが、新たに加わったA.Cl とT.Saxの動きにアピールが欲しいところです。音量バランス注意。14小節目からの2分音符はしっかりとキメていきたいところ。低音の4分音符の上行音は、丁寧に音程を確認しながら、徐々に迫りくる緊張感の高まりが欲しいです。
I:音階に調性感を持って演奏してしましょう。低音の動きは重要なので、金管やコントラバスとも動きをそろえて。最後はしっかりと音型をそろえつつ終止感を持って演奏しましょう。
PAGE.1|全日本吹奏楽コンクール課題曲はこう攻略せよ!
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PAGE.3|『課題曲Ⅱ』スペインの市場で
PAGE.4|『課題曲Ⅲ』ある英雄の記憶
PAGE.5|『課題曲Ⅳ』マーチ「クローバー グラウンド」