●この曲で終始聞こえてくるBに出てくるような16分音符の動き、かっこよく決めたいですね。
●16分音符にスタッカートが付いていますが、短く切ろうとする必要はありません。はっきりめのタンギングで長く吹いていきましょう。その際、息が次の8分音符まで失速しないようにします。Cのトロンボーンだけはスタッカートがありません。ほんの少し優しいタンギングを使ってニュアンスに差をつけましょう。
●もう1つ印象的なのが中間のハバネラです。低音のリズムが特徴的です。小節頭の8分音符テヌートはただの“長く” ではないですね。ハバネラは舞曲ですから、ほんの少し重心のかかるイメージを持ちたいです。ハバネラという名を持った曲を聴いて研究しておきましょう。
コントラバスは、ダウン・ダウン・アップが良いでしょう。
●さて、やってみると分かりますが、日本人はやが苦手です。古く歴史をたどってもこういったリズムに相当する動きがなかったからです。
●対して西洋の方々は古くからバレエや舞踏をやってきた文化があります。せめてそれっぽくしていきたいので、で練習していきましょう。簡単です。左右に揺れながら演奏してみましょう。どちらからでもいいですが、みんなで方向を決めて動いてみましょう。カクカク動いちゃだめですよ。「1とっと2とっと……」です。この動きの中で吹けるようになればマスターです!(本番ではやらないでくださいね(笑))
A:基本的に4分の3拍子の音楽となりますが、3小節目からのTpのようにところどころで8分の6拍子のニュアンスが挿入されているので、影響されてリズムが乱れないように注意が必要です。3小節目及び6小節目からの高音木管の動きは、リズムが乱れないようメトロノームなどで練習しましょう。B.SaxとBsn、B.Cl、T.Saxの動きが連動することで、8分音符単位での動きがクリアになるよう設計されているので、噛み合わせを確認しておきましょう。
B:ここからは8分の6拍子。細かい音符に対する正確性は維持しつつも、大きな2拍子の流れを出したいところ。特に5小節目アウフタクトからの旋律ではフレーズ感を大切にして大きな流れで歌い込めると良いでしょう。12小節目は 4分の3拍子のような動きになりますが、リズムが崩れないように注意。リズムが滑りやすいので、落ち着いて正確に演奏しましょう。13小節目1拍目で管楽器全員無音となるので休符に緊張感が欲しいです。逆に2拍目は溜まったエネルギーを解放させましょう。ただ暴発しないよう注意も必要です。14小節目で4分の3拍子に戻るので、違いを示すためにもしっかり正確に指揮を振って。特に1拍目は重要ですので、慌てず正確に。
C:Aと同様ですが、楽器構成が変わっているので、音色変化は欲しいところ。5小節目からPiccとE♭Clが加わりますので、より華やかさを。8小節目からの低音の裏打ち、9小節目からの低音以外の木管群による頭打ちはしっかりとリズムを正確に打ち込みましょう。11小節目1拍目にも管楽器の無音箇所があるので、四分休符は緊張感を持って。2拍目は溜まったエネルギーを解放させてゴージャスな終止にしましょう。
D:各楽器とも音色に気をつけながら、自信を持ってソリスティックに。伴奏の和音はしっとりとしたサウンドで。13小節目からは4分の2拍子のHabaneraになります。低音の動きが大変重要なので、アーティキュレーションの持つニュアンスをうまく使って雰囲気を醸し出せると良いですね。5度4度の音程感は正確に。
E:1小節目及び6小節目からのサックス群は、ゆったりとしたテーマをツヤのある音色とクリアなアンサンブルで演奏したいところ。フレーズ感の統一やハーモニー、音程はチェックしておきましょう。6小節目からのフレーズでは微妙に和音構造が変化しておりますので、違いを明確に表現したいです。E 3小節目からのフルート、オーボエと4小節目からのアルトクラリネット、5小節目のB♭クラリネット、また8小節目からのフルート、クラリネットと9小節目アウフタクトからのバスーンは、互いに絡み合って4つのオブリガードのように聞こえると良いと思います。E 11小節目からのサックス群とバスクラリネット、13小節目からのフルート、クラリネット、バスクラリネット、テナーサックスは呼応するように。ボリュームはもちろん、楽器構成の変化による音色の違いも表現したいですね。
F:Eと同様の構成ですが、演奏パートが増えているので、アンサンブルをしっかりと整えていきたいですね。役割ごとの音量バランスにも注意が必要です。5小節目からは低音の動きに変化があるので注意。ディミヌエンドの指示はありますが、最後まで輪郭をクリアに。
G:5小節目からのFlとClは1小節目からのTpとTbに呼応する形で。アーティキュレーションに違いはありますが、基本的に同じニュアンスで良いと思います。11小節目からTempo Iですが、Hに入る手前までは多少変化しても良いと思うので、Percの魅力的なソロを期待したいです。
H:完全にテンポを戻すように心がけましょう。構造自体はBと同様になります。9小節目からはIの4分の3拍子に繋げるためのブリッジです。調性変化をしっかり捉えておきましょう。11小節目からは既に4分の3拍子の動きになるので、リズムが乱れないように。
I:Aのテーマの再現になりますが、I 3小節目からのObとE♭Clの動きやPiccの動きなど、Aとの違いをアピールできると良いと思います。なおPiccはグロッケンと連動しているので注意。
J:5小節目からのテーマのtutti はしっかりとアンサンブルを整えておきたいところ。7小節目3拍目からのサックスの動きは、ハーモニーを整えた上で金管群と音色をそろえて。9小節目からのMeno moosoは、弱音でも輪郭をクリアにソリスティックな音色にしましょう。調性音楽から突然現代的な響きになりますので、緊張感ある音楽が求められます。
K・L:Kからanimato al fineの指示がありますので、終 曲に向けて音楽を生き生きと前進させたいところ。噛み合わせが崩れないよう注意。L 5小節目からは音量よりも響きのある音色で和声進行の見える音楽にしたいですね。最後は緊張感のあるサウンドで終止できれば良いですね。
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