楽しくできる基礎練習 -個人のレベルアップのために-
◆ブレスコントロール◆
テナーは結構息を使う楽器です。ブレスする上で重要な点は、体にたくさん息が入るように胸を広げた姿勢にし、体の中の空気を吐き切ることです。肺の底に息を溜め込むイメージで吸い込むと、勝手に腹式呼吸(吸った時お腹が出る)となるので、その状態を保ったまま(→これがお腹の支えになります)遠くに一定の息を出していってください。さらに肺の上のほうにまだ空間があれば、肺のタンクすべてを空気で一杯にできます。
◆アンブシュア◆
テナーはアルトよりもマウスピースが大きいからといって、必要以上に深くくわえてしまう人を見かけます。深すぎてしまうと無駄な息をたくさん使うことになり、音色も広がってしまうので注意してください。上の歯は先端から1cm くらいのところで大丈夫です。
◆ロングトーン◆
テナーはマウスピースのみで音を出すと、実音“A♭”になります。まずこのピッチと音色を保ちながら、まっすぐ伸ばせるようにしましょう。安定したら楽器を付け、すべての音域で=60、1拍吸う→7拍吐くでロングトーンをしてみましょう。この時にただ伸ばしているのではなく、下記の点に注意しながらやると頭をフル回転させながらやることになり、かなり集中できるはずです。
1. 姿勢は大丈夫か
2. 体の中の空気を吐き切ってから腹式呼吸をし、お腹の支えを作る
3. アンブシュアを整える
4. メトロノームに合わせ、アタックが美しくできているか
5. 安定した正確なピッチか
6. 安定した豊かな音色か
7. ブレスをする前の音の処理は美しくまとめられているか
8. 音域によってアンブシュアと音色を変えず、統一感があるか
◆タンギング、音型◆
・タンギングはいくつかの種類がありますが、フレーズによって使い分けましょう。アクセントが付いている時にはタンギングに頼りすぎると「パン」や「ベチ」のような音がしてしまいます。これは『スラップ・タンギング』と呼ばれる奏法で、弦を弾く音を求められた時に必要になりますが、滅多に使われません。テナーやバリトンはこれになりやすいので注意しましょう。大事なのはまとまった息が最初から入っていて、息のスピードがあること、アンブシュアを変えず音程が安定していることなどです。また、ノータンギング(息のみ) で頭から音がクリアーに出るかも是非やってみてください。
・音型は曲やフレーズのキャラクターによって異なります。羊羹型テヌート、減衰型、スタッカート、そしてジャズ系のせき止める音型など、すべて使いこなせなければなりません。曲調に合うものを探すのも楽しみの一つです。
◆ヴィブラート◆
サクソフォーンの一番の魅力でもあるヴィブラート。この機会にマスターしてしまいましょう。
① ピッチを上げる(噛む)→ピッチを下げる(緩める)「ウーワーウーワー」
② ①を8分音符にする「ウワウワウワウワ」
③ 上げる緩めるを滑らかにする「ウワンワンワンワン」
④ ③を3連符、16分音符でもやってみる
⑤ テンポを=84まで上げて四連符まで持っていく
これだけです!
注意することは
1. 外から見てあごがまったく動かないこと
2. 下げたときの音程がいつも同じになること
3. 基本的な正しい音程は必ず考えていること
4. リードを反応させるための息のスピードは保つこと
正確なピッチと息の方向、音量の変化がないかなどを確かめるため、ロングトーン2拍→ヴィブラート2拍を交互にやる練習も入れてください。
マスターしたら、強弱やフレーズに合わせて幅や波の速度変化まで付けましょう。強弱の変化をつけながら、ロングトーンに取り入れてみてください。
【譜例:ヴィブラート練習】
※こちらの記事は、Wind-i vol.7を一部抜粋し掲載しています。