[1ページ目]
The Clarinet ONLINE
Benjamin Mellefont ベンジャミン・メルフォント
オーストラリアを代表する世界都市シドニー出身のクラリネット奏者、ベンジャミン・メルフォントさんは17歳から英国王立音楽大学で研鑽を積み、22歳のときにロイヤル・リヴァプールフィルハーモニー管弦楽団に入団。そして26歳でイギリスを代表するロンドン・フィルハーモニック管弦楽団の首席クラリネット奏者になると同時に、英国王立音楽アカデミーの教授に最年少で就任した若き才人です。
今回は初のインタビューということで、ベンジャミンさんにこれまでのクラリネット人生を振り返っていただきました。
取材協力:ヤマハ株式会社、株式会社ヤマハミュージックジャパン
翻訳:井上知香(サックス奏者)
26歳でイギリスを代表するロンドン・フィルの首席となり、
英国王立音楽アカデミーの教授に最年少で就任した若き才人
良い影響を与えてくれた先生
―
ご出身はどちらですか?
Benjamin Mellefont(以下B)
オーストラリアを代表する観光地の一つで、ニューサウスウェールズ州シドニーにある人気のビーチ、ボンダイビーチ出身です。そこで17歳まで過ごし、その後はロンドンに移り、Royal College of Music(英国王立音楽大学)で学びました。
―
クラリネットを吹き始めたのはいつですか?
B
クラリネットは9歳の時に始めました。小学3年生ですね。当時、学校のオーケストラに入っていましたが、大変興味深かったのは学校の内外の人たちとオーケストラや吹奏楽で一緒に演奏をして、同じ趣味を持っている人と知り合えたのがうれしかったのを覚えています。他の楽器はピアノ以外ほとんどやっていませんが、今でもピアノは弾きますし、教えている時もピアノを使っています。
―
クラリネットを選んだ理由は?
B
最初は、クラリネットを吹いていた学校の友だちの真似をしていただけです(笑)。何かロマンティックな答えがあればいいなと思うのですが……クラリネットはいい音だな、と感じたのはもっと後のことです。この年頃の子どもはお互いを真似したがりますよね。僕の兄はスケートボードやヘビーメタルの音楽が好きだったので、それも真似したり聴いたりしていましたし、みんなのやっていることを真似するのが好きでした。なぜ自分がそれらをするのが好きなのか、後で気づくことが多かったです。
―
コンクールなどには挑戦しましたか?
B
他の人と一緒に演奏することが好きで、それを重視してきたように思うので、コンクールなどにも出ていませんでした。
―
ベンジャミンさんが学生時代に一番影響を受けた先生は誰ですか? その先生の言葉で特に印象に残っていることはありますか?
B
どの先生も自分にとっていい影響を与えてくれたと思いますが、強いて一人の名前をあげるとすると、11歳〜15歳くらいまで習っていたKatherine McCorkill(キャサリン・マコーキル)先生です。パフォーマーであり続けるのが可能だということ、そして音楽を仕事としても趣味としても楽しむことができる、ということを教えてくれました。
そして、重要な課題曲を初めて一緒に取り組んだ先生で、モーツァルトやニールセンの『クラリネット協奏曲』を大変丁寧に念入りに指導してくれました。根気よく、ゆっくり物事を丁寧に教えてくれる先生というのは、特にその年齢(若い)のときには大変ありがたかったです。また、音楽は楽しいというところから真面目に取り組む姿勢を大切にするという方向にも導いてくれました。
今、彼女はクラリネットの指導者ではなく、ヴィジュアルアーツ(視覚芸術)のほうで活躍しています。
そして、重要な課題曲を初めて一緒に取り組んだ先生で、モーツァルトやニールセンの『クラリネット協奏曲』を大変丁寧に念入りに指導してくれました。根気よく、ゆっくり物事を丁寧に教えてくれる先生というのは、特にその年齢(若い)のときには大変ありがたかったです。また、音楽は楽しいというところから真面目に取り組む姿勢を大切にするという方向にも導いてくれました。
今、彼女はクラリネットの指導者ではなく、ヴィジュアルアーツ(視覚芸術)のほうで活躍しています。
次のページの項目
・リヴァプールフィル在籍時に肩を痛める
Profile
Benjamin Mellefont ベンジャミン・メルフォント
オーストラリア・シドニー生まれ。ロイヤル・リヴァプールフィルハーモニー管弦楽団首席奏者を経て、2019年からロンドンフィルハーモニー交響楽団首席クラリネット奏者を務める。イギリスやオーストラリアでは、他オーケストラでの首席客演も多く、ザルツブルグ、エジンバラ、オールドバラの音楽祭に出演している。現代音楽の分野でも活躍しており、2012年に設立したエクスプロア・アンサンブルの主要メンバーとして数々の初演や委嘱を行ない、2019年にカイヤ・サーリアホの「ソロクラリネットとアンサンブルのためのフィギュラ」のイギリス初演のソリストを務める。室内楽奏者としても、アンサンブル360やロンドンシンフォニエッタで演奏し、イギリス始め欧州内の数々の音楽祭に出演している。2015年に英国王立音楽大学を最優秀の成績で卒業。バーナビー・ロブソン、リチャード・ホスフォード、ティモシー・ラインズ、マイケル・コリンズの各氏に師事。2019年からは英国王立音楽アカデミー教授を務めるほか、王立音楽大学、ギルドホール音楽演劇学校でマスタークラスを行なうなど後進の指導にあたっている。エレクトリック・ミュージック制作や料理を趣味に持つ他、時々ロンドンのコーヒーショップでプロのバリスタとして働くなど多彩な一面も持つ。
オーストラリア・シドニー生まれ。ロイヤル・リヴァプールフィルハーモニー管弦楽団首席奏者を経て、2019年からロンドンフィルハーモニー交響楽団首席クラリネット奏者を務める。イギリスやオーストラリアでは、他オーケストラでの首席客演も多く、ザルツブルグ、エジンバラ、オールドバラの音楽祭に出演している。現代音楽の分野でも活躍しており、2012年に設立したエクスプロア・アンサンブルの主要メンバーとして数々の初演や委嘱を行ない、2019年にカイヤ・サーリアホの「ソロクラリネットとアンサンブルのためのフィギュラ」のイギリス初演のソリストを務める。室内楽奏者としても、アンサンブル360やロンドンシンフォニエッタで演奏し、イギリス始め欧州内の数々の音楽祭に出演している。2015年に英国王立音楽大学を最優秀の成績で卒業。バーナビー・ロブソン、リチャード・ホスフォード、ティモシー・ラインズ、マイケル・コリンズの各氏に師事。2019年からは英国王立音楽アカデミー教授を務めるほか、王立音楽大学、ギルドホール音楽演劇学校でマスタークラスを行なうなど後進の指導にあたっている。エレクトリック・ミュージック制作や料理を趣味に持つ他、時々ロンドンのコーヒーショップでプロのバリスタとして働くなど多彩な一面も持つ。