山元康生の吹奏楽トレーニング!│第7回
2オクターヴでは足りません!全音域で練習を
では、低中音域だけでなく広い音域で速いタンギングも練習していきましょう。
【譜例4】をご覧ください。吹奏楽でよく使われる5つの調性の音階です。
連載第1回で、これらの基本的な音階と名前はマスターしているはずなので、英語での調性のみ記しておきました。
楽譜通りに少し吹いてみると、中には「あれ、これは吹いたことがあるぞ!」と思った人もいることでしょう。タファネル=ゴーベールの「17の日課練習」の第4番に似ていますね?!
しかし、タファネル=ゴーベールは1つの調に対して2オクターヴの中を上下する音階ですが、これはフルートの全音域、ほぼ3オクターヴにわたって上下する音階になっています。
つまり、タファネル=ゴーベールの2オクターヴを練習するだけではフルートの音域の残り1オクターヴは練習していないことになります。
また、このエクササイズもタファネル=ゴーベールも、指のための練習ではありません。
これを基に、いろいろなスラーやスタッカートで変奏してアーティキュレーションを練習するためのエクササイズなのです。
具体的な練習方法は【譜例5】で紹介します。
デボスト氏は著書「フルート演奏の秘訣 練習ノート」に「音階ゲーム」というエクササイズを載せています。
それは、タファネル=ゴーベールの第4番を様々なタンギングやスラー、アーティキュレーションで練習することを勧めています。その中にはタンギングなしで練習するエクササイズもあり、氏は「ha/ha/ha」と記しています。
私は今までタファネル=ゴーベールの第4番を延々とスラーでmfで、ゆっくりと練習している学生を何人も見かけました。
「何のための練習ですか?」と聞いてみると「わかりません。でも先生に『タファネル=ゴーベールが大切だ』と言われたので」というのが答えでした。
練習には必ず目的が必要です。それがないと「時間」と「体力」のムダ遣いになってしまいます。たぶん、その先生はご自分がタファネル=ゴーベールを練習されていないのだと思います。