THE FLUTE157号特集
アンサンブルが生み出すハーモニーは、一人ではつくることのできない素晴らしいもの。呼吸やリズム、音色がピタッと会ったときの気持ちよさは、アンサンブルならではのものですね。しかし、それは簡単なことでないのも事実。今回のTHE FLUTE157号特集は、アンサンブル力を上げて、アンサンブル全体をパワーアップさせるために必要なことをプロにレクチャーしてもらいました。
そして……オンラインでは特別に、読者の皆さんから寄せられたアンケート“アンサンブルに関して、プロに聞いてみたいこと”について、今回特集を執筆いただいたプロ奏者の皆さんにご回答いただきました! フルート&ピアノ、フルートカルテット、フルートアンサンブル、吹奏楽という4つの分野それぞれで、皆さんの疑問への答えがたくさん……アンサンブルに参加している人なら必ず役に立つアドバイス、ぜひ参考にしてみてくださいね。
アンサンブルが生み出すハーモニーは、一人ではつくることのできない素晴らしいもの。呼吸やリズム、音色がピタッと会ったときの気持ちよさは、アンサンブルならではのものですね。しかし、それは簡単なことでないのも事実。今回のTHE FLUTE157号特集は、アンサンブル力を上げて、アンサンブル全体をパワーアップさせるために必要なことをプロにレクチャーしてもらいました。
そして……オンラインでは特別に、読者の皆さんから寄せられたアンケート【アンサンブルに関して、プロに聞いてみたいこと】について、今回特集を執筆いただいたプロ奏者の皆さんにご回答いただきました! フルート&ピアノ、フルートカルテット、フルートアンサンブル、吹奏楽という4つの分野それぞれで、皆さんの疑問への答えがたくさん……アンサンブルに参加している人なら必ず役に立つアドバイス、ぜひ参考にしてみてくださいね。
質問内容:
回答 Part1 南部やすか(フルート&ピアノ)
南部やすか Yasuka Nambu
アメリカとドイツで学ぶ。神戸市文化奨励賞、兵庫県坂井時忠音楽賞、大阪文化祭賞奨励賞受賞。カーネギーホールでのお箏とのデュオ・コンサート、テルアビブにてイスラエル管弦楽団ソリスツとの協演、大阪フィル、日本フィル、山形交響楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団、その他国内外のオーケストラとの協演やリサイタル、2010上海万博での演奏、ラジオ関西のパーソナリティ、NHKテレビ「ぐるっと関西プラス」出演、スケート選手高橋大輔との共演など活動は幅広い。西本智実が芸術監督を務めるイルミナート・フィルのメンバー。
ピアノは平均律で調律されているので、完全に純正な和音にはなりません。そのうえで、できる限り綺麗な和音を作るためには
1.音の芯を太くする→口内・喉を大きく開きお腹の底からしっかりと音を響かせましょう。よりブレンドしやすい音色になるので、音程も合わせやすくなります。
2.ビブラートを工夫する →音の芯全体を包み込むような、丸く豊かなビブラートの方がやはりブレンドしやすいです。また、芯の上の方で浅くかけたり、下の方で深かけたりすることは音程の微調整にもなります。
3.自信を持つ →不安になると息もためらいがちになり、音程が低くなったり不安定になったりしてしまいます。「この音はいつも難しい」などと怖がらずに、まずはしっかりとした音色で音楽を表現し、そのうえで対処するようにしましょう。
大から小へ……でしょうか。まず、とりあえず曲/楽章の最後まで吹いてみます。全体のイメージはどうでしょうか?クライマックスや起承転結の感じ方は?全体のテンポ感やアーティキュレーション(例えば、バロック作品で8部音符は全て短めにするかなど大まかなこと)は?その後で、セクションやフレーズごとのイメージやテンポ合わせ。それから特に気になる箇所の音程やアンサンブルを細かく合わせていきます。合わせにかけられる時間によって精密さは違いますが、流れは同じ、大→小です。最初から「この音の音程を合わせる!」などと考えるのは非効率的。音色や音量によって、音程のみならずアーティキュレーションやテンポ感にも微妙な違いが出てくるので、まずは曲全体のイメージを合わせることから始めます。
「表現」の一言ですね。例えば、強弱では数値に置き換え、0~100ぐらいの単位で「ここのfは81、次のフレーズは83」などと細かく決める。拍子と拍子の間に、一瞬の1/10ぐらいの間をとる。このレベルで合わせられると、ものすごく表情豊かでメリハリのある演奏になります。 もちろん、いちいち話し合っていたらきりがありません。お互いにイメージを共有することによって、わざわざ詳細を話し合わなくても感覚的に合わせやすくなると思います。
賛否両論ありますが、アンサンブル曲は音源に合わせての練習をお勧めします(練習用でも、普通の演奏音源でもOK)。環境が許せば実際に共演しているような大音量で、それが難しければ自分の音がなるべく聞こえるように周りの音が聞こえやすいイヤホンなどで、合わせて吹きます。他パートとの和音や細かいパッセージなど実際の合わせで気を付けるべき点に気付けますし、何より楽しいのでモチベーションアップにもなります。ただし、音源のコピー演奏とならないよう、しっかりと楽譜と向き合って自分なりの解釈を考える時間もきちんと設けましょう。
私の場合は、合わせの時間に少しでも余裕がある時は、 まずお茶をします。メンバーの自宅で本格的にお茶菓子や食事をいただくこともあれば、リハーサル室前で各自持参のペットボトルの時もあります。自己紹介や「この曲が難しかった!」など音楽的世間話ですが、お互い話し合いやすくなりますし、遅れて来たメンバーもプレッシャーなく加わることができるので一石二鳥。言いたいことを言えずにもくもくとリハーサルを進めるよりも、多少合わせの時間が減ってもオープンに話し合える関係を築く方が楽しく効率的だと感じます。 今の時代、SNSなどで普段からそれとなく世間話をするのも良いかもしれませんね。