大山日出男のJAZZ入門
THE SAX誌(27-33号)で好評を博した連載、「大山日出男のJAZZ入門」。日本を代表するサックス奏者、大山日出男氏がスタンダードを題材にコード進 行の捉え方やフレーズの組み立て方などをレッスンしたものだ。そのエッセンスをお伝えすべく、大山氏が語った「アドリブ上達のための考え方」をご紹介しよう。
続いて語られるのは、ジャムセッションのすすめだ。
【ある程度のレベルに達していても、または達していなくてもセッションはやるべきです。(中略)初対面の演奏者とのジャムセッションは、ジャズ特有のスリリングな場所でしょう。(中略)しかしジャムセッションに出かけることは大切です。他 の奏者の演奏を聴くことで「あんな音色で吹きたい」と音のイメージを膨らませたり、「さっきのフレーズはなんだろう?」と疑問を持ったり。時には先輩 ミュージシャンに「あのメロディはとても面白かったけれどなんですか?」「とても魅力的なコード進行でしたが、あれは?」などと質問をし、それでもわから ないことは後で調べて覚えていきました】
そして、自分の分(ぶ)で正直に演奏することの大事さを教えてくれる。
【ニューヨークでは週に2度ほどジャムセッションに出かけました。ひとつ感心したことがあります。皆が皆そうだとは言えないのですが、初心者でも自分の分(ぶ)で演奏しているということです。簡単にいうと、分からないことは演奏していないのです。できることをやる、できないことはやらない。これは音楽的な良心と勇気がいることですが、アドリブソロにおいて忘れてはならないことでしょう】
序章の最後では、奏でたいフレーズを言葉として自分の中に積み上げていくことについて、語ってくれた。
【“ア ドリブをする”ということは、言葉をしゃべることと似ています。例えば、「あいうえお50音」をランダムに並べても、日本語のようには聞こえるかもしれないけれど、意味を含んだ言葉にはなりませんよね。同じように、スケールの中にある音をランダムに並べ替えても、ジャズっぽくは聞こえても意味のあるメロ ディにはなりません。
ですから最初は他人が話していることの真似をして、自分なりの“言葉”を増やしていく作業が必要なんですね。たくさんの演奏を聴きながら、自分の気持ちに響いた言葉を増やしていきます。そこからまた別の言葉につながり、最終的には自分独自の語法ができあがっていくのではないでしょうか】