クラリネット記事 Close-Up Interview 米倉森
  クラリネット記事 Close-Up Interview 米倉森
[2ページ目]
Close-Up Interview

Close-Up Interview 米倉森

得意を活かし、伸ばす

得意を活かし、伸ばす

いろいろなところでクラリネットのレッスンをされていますが、指導の際に意識していること、重視していることなどはありますか?
米倉
うーん、発音、音色、息……ブレスコントロールでしょうか? 吹奏楽でクラリネットを吹いている子は、どうしても息を入れすぎて音がつぶれてしまっていることが多く見られるので、息を吐くところではなくて吸うことから教えてあげたいなと思っています。よく、生徒と一緒にロングトーンをしているのはこのためです。私も学生の頃ってロングトーンが大嫌いでしたが、だけど教えている生徒にロングトーンをやらせるといい音になると目に見えて実感するんですよね。だからロングトーンをやらせることで、息を吐くだけではなくて吸うことから学ばせています。それから、私は10年間頑張って音色を極めたので、やはり音色について、それから発音についても意識しています。
反対にテクニック面とかは、たとえば指が回らないから怒るとかはしません。指回しは自然とついてくるものだと思いますし、少し残酷な話ですけど、指が回るか回らないかというのは生まれ持ったものだと思うんですね。運動神経みたいな、それができる筋肉を持っているかどうか。だからそこはあまり重視しないようにして、できることを活かして伸ばしてあげるようにしています。
それから、初心者のレッスンをすごく大事にしています。初めに教わることって、今後にとても生きてくる、とても重要なものだと思いますから。始めたばかりの子だとほっぺたに息が入ってしまったり、疲れてきて口角が下がってきちゃうことがとにかく多い。だから、アンブシュア、身体の使い方、クラリネットの持ち方、指の位置、全部を教えてあげたいなと思います。特に指の位置は、山本先生がものすごく厳しき教えてくれたので……。指を上にあげない、バタバタさせない。それは、中高生にも教えています。

音色は“耳”から

音色についての指導は難しいと思うのですが、どのように伝えていますか?
米倉

自分の音を聴かせています。なので、とにかくレッスンでは一緒に吹くようにしています。一緒にロングトーンをしたり、エチュードを吹いたり。タイミングがそろわなくても、音程が合っていなくても、一緒に演奏することで変わってくれたらと思っています。他には、口の中の開きや角度なども伝えます。マウスピースをくわえる長さ、どれくらい口の中に入れるか、下唇のつける位置、前歯の置く位置などはかなり重点的に教えます。

ロングトーンを重要視されているとのお話でしたが、毎日の練習のルーティンやウォーミングアップで最初に行なうものはありますか?
米倉
まずは管体に息を入れます。楽器を温めるというわけではなくて、楽器やタンポの状態を見るためですね。なので全部の音を吹いてタンポやキィに息を入れることで、常に調整の具合を確かめるようにしています。それから、自分の音出しとして、スケールをやります。アルペジオも管体に息が入っていくのでいいですね。管体に息を入れることを重視しています。
音色を極めたと仰っていましたね。実際に拝聴して、米倉さんの音色は極まっていると感じましたが、具体的に鍛えるためのトレーニングなどはされましたか?
米倉
音色を鍛えるため……正直に言うと、特になにもやっていないです。どちらかというと、耳が鍛えられたのではないかと思いますね。なんでしょうか、エーラー式を使っている奏者の吹き方が自分に染まってきたような。エーラー式の方が特別意図していないような息の入れ方、例えば高いドの音の場合に、ベーム式だと楽器の状態さえ良ければ息は入りやすいのですが、エーラー式だとそうはいかなくて、アンブシュアを締めたりして抵抗を作らないと鳴らないんです。一緒にオケで吹くことで、そういった吹き方が自分に落とし込まれたことが大きいと思います。あとは、ただ自分の出会ったマウスピースやアクセサリーたちが良かったことですね。
<前へ      1   |   2   |   3   |   4      次へ>      

クラリネット ブランド