いま注目の“♭ふらっ砥”を辻本美博が試してみました!

「♭ふらっ砥」を使って実験してみよう!

抵抗感があって少し硬め、なんかダメなBマイナスのリードを調整してください。
梅本
まずは裏の面を整えます。リードを「♭ふらっ砥」の上に置き、ヒールに向かって2〜3回擦るだけです。そうすると柔らかい部分が削れていくので、そのあとに吹いてみてどれだけ変わったかを確かめてください。力はかけなくて大丈夫です。

 

辻本
(1度吹いて)おぅ! 明らかに軽くなりました。(さらに吹き込んで)なんかダメという部分は変わりないんですけど、ムダにあった抵抗感が減りました。ドの音の出方が全然違いますね。スゴい!
もう少し擦るとさらに変わるんですか?
梅本
もっと変わります。2〜3回擦って変わったということは、リードの裏の面がフラットではなかったということです。
辻本
リードの裏面を触った感じでもわかりますが、何度か吹いているとマウスピースのウインドウ部分と接するところが出っ張ってきます。そこを整えたいですね。また擦ってみます。
最初にリードの裏面を削る人もいますよね。
梅本
いますね。メーカーによっては毛羽だっていたり、表面がガサガサしていたりするリードもありますからね。
辻本
(吹き終わって)さっき吹いた状態がBだとするなら、これはAマイナスくらいまできた感じがあります。ナゾのムダな抵抗感があったのですが、それがなくなりましたね。詰まるというのも違っていて、抵抗感があるわりにそれがリッチさに反映されていない感じでした。音がリッチにはならないんですけど、ムダな抵抗感がかなり減ったので、それこそ練習に使えるレベルまでになりました。
粗めのモデラートで削ってみてもいいですか?
梅本
はい、どうぞ。削れている音がしますね。やりすぎるとリードが薄くなるので、そこは注意して使っていただければと思います。必ず、波線、ヒールのほうに向かって削っていくのが基本で、リードを行ったり来たりさせず、この1方向で削っていきます。

 

辻本
僕もリードの調整についていろいろ試したり勉強したりしたとき、削る方向はその1方向でした。でも、人によってはやり方が違ってきますよね。
実験ということで、薄くなるだろうと予想しつつ、ツルツルになるまでやってみようと思います。このリードは抵抗感があって硬め、ホワイトノイズが乗っていました。それで「♭ふらっ砥」を使ってムダにあった抵抗感が減りましたが、モデラートを使うとどうなるのか吹いてみます。
(削ったあとに吹いてみる)良くなりましたね。普通には使えます。Aくらいの感じに変わりました。想像していた3倍すごいです。
梅本
3倍、やった!
辻本
5倍すごい。
梅本
この短時間で5倍にアップしたんだ(笑)。

 

抵抗感の他に変わったところは?
辻本
ホワイトノイズ系の音ではなくなり、クリアな方向にいきましたね。もちろんベースがS級ではないから、「すごく気持ちいい」という吹奏感とまではいきませんが、抵抗感も音色もイヤだった部分がなくなりました。これなら練習で使えますし、場合によっては本番でも使えるかもしれません。薄い方向にいっているので、吹き込みすぎると跳躍などでは詰まる感じになりますけど、自分の吹き方ならまったく問題ないですね。以前、少し出っ張っている部分を平らにしたらよくなくなった経験もあるので、程度や物によって変わるということがわかりました。
梅本
やっぱりリードの左右のバランスが重要で、もちろん薄いほうを削るわけにはいかないので厚いほうを少し削ってバランスを取ります。そうすると良くなる可能性が出てきて、ある程度使えるリードになります。

 

リード
ティップ:リードの先端部分、ハート:ヴァンプの中心部分、ヴァンプ:カット部分、ヒール:リードのかかと部分
次に、「抵抗感が軽くリードが薄い、そもそも使えないC級以下のリード」を調整してください。
梅本
薄いリードなので劇的に変わることはないかもしれませんが、バランスが取れれば、奇跡的に良くなるかもしれません。裏面を整えたあと、今度は尖砥を使ってリードの先端部分は削らず、ハートの横や少し下あたりを削ります。微調整したいときは水につけてもらうと、その膜であまり削れないのでいいかもしれません。
辻本
(吹いてみる)左右がそろった感じがありますね。予想どおりバランスはよくなりますが、薄いのはそのままです。でも、左右がそろったらよくなる可能性を示唆していますね。
梅本
本当に薄いリードは先端をカットするしかないですからね。1箱に入っている割合として3番や3 1/2は厚いリードのほうが多いような気がします。
辻本
そうですね。厚いほうが多くペラペラというのは少ないと思います。
薄いリードを削ったらどうなるのか、実験したいと思います。単純に吹奏感がより軽くなるだろうという気がしています。

 

3 1/2が3番くらいの感じになるかもしれませんね。
梅本
そうかもしれません。実際に4番のリードを買ってそれを削って3 1/2の吹奏感にするという方もいます。そういう方はモデラートを使っています。
辻本
(吹いてみて)バリが取れた感じがしますね。高音のほうでシャリっと感が出ちゃいますが、さらに高音にいくと反応が良くなります。練習で使うんだったらラクに吹けるなと思います。アーティキュレーションもクリアになりました。
これは、もともと吹奏感が軽くて何が悪いのかよくわからないリードです。元々は左側が薄くビーと鳴るなと感じていたんですけど、薄いほうに合わせて右側を削ったら左右の差がなくなった感じがわかりました。薄いほうに合わせたので全体的にビーと鳴るようになったので、実験ついでに裏面を整えてみたら、ビーと鳴る感じが少し減って、軽く吹けるな、という印象です。全然使えない感じじゃなくなりました。

 

レゼルヴ・クラシックもやってみましょうか。
辻本
少し古いものですが、薄いと感じていたんです。レゼルヴ・クラシックは表示よりも少し軽いと聞きました。音色感としても少し薄い感じがします。
(吹いてみて)コントロール次第では使えますね。リッチな感じの音に変わりました。吹いている感じや自分に返ってくる音は厚くなったように思います。わからないですけれど、接地面が良くなったことで、振動しなかった部分も振動しているのかなって思います。元々はBマイナスくらいの評価なのですが、今はAマイナスくらいまでいけたんじゃないですかね。

 

薄いからといって削ってさらに薄くなるというよりは、バランスが整うという感じですかね。
梅本
そうですね。バランスが整うとそう感じるのかもしれません。
辻本
まだ1回しかやってないですけど、裏面に関しては整うという印象がありますね。

 

厚いと感じたリードはありますか。
辻本
このリードは分厚くて硬い感じがします。たぶん右のほうが厚いと思うので、尖砥を使って表面を整えていきます。スティックタイプはこれまでなかったですね。
(吹いてみて)左右がそろったな、という感じがします。ベストな厚さが100だとしたら、左側だけを吹いたときが80、右側は120だったのが、整えたら全体的に80になりました。抵抗感が減った感じで、音がクリアになりましたね。
この「♭ふらっ砥」を使って調整をし始めると、元々こういうことが好きだったときの感じが出てしまいますね(笑)。15年くらい削ってなかったけれど嫌いではないです。好きということを再認識しています。これを機に凝り始めるかもしれないですね(笑)。

 

 

ポイントはやりすぎないことですよね。
辻本
当時もやりすぎはありましたね。
梅本
少しずつ削っては吹いて、まだまだと思うくらいがちょうど良かったりします。

 

何事もそうですね。
梅本
そう。やりすぎは良くない。8分目がちょうどいい(笑)。
辻本
たしかに。でも、もう少し削ってみます(笑)。(吹いてみて)最初はDくらいの評価でしたが、今はBの手前くらいまできました。まだまだだいぶ重いんですけど、どうしようもない感じは脱せました。まだ足りない感じかもしれません。
梅本
突きつめていくと、モデラートとブリランテの両方を持っていたほうがいいかもしれませんんね。

 

ブリランテだけだと時間がかかるリードもありますよね。
梅本
それはありますね。初心者はブリランテから始めないと削りすぎる危険があります。でも、物によってはモデラート1発でいけることがあるかもしれません。私も最初はブリランテしか使ってなかったのですが、今は両方を使っています。
辻本
(さらに削って吹いてみて)まだ重たさはありますが、Bと言える物になりました。このリードはベンチに入れておいて、例えば、大編成をバックに自分の音をしっかり聞かないといけない、少し強めに大きめに吹かないといけないときには登板する可能性さえ出てきました。演奏する曲にもよりますが、もちろんPAがある前提でシチュエーションやシーンによって使えるところまできましたね。すごい!

 

削ってはいけないところはどこですか?
辻本
昔はハート部分を削ってはダメと聞きました。
梅本
表面の真ん中、ハート部分は削ってはいけないと言われますが、軽く平らにしていくぶんなら大丈夫だと思います。でも、基本的にバランスを整える場合はハート部分を中心に左か右かだと思いますので、先端に近い中央部分はやめたほうがいいかもしれませんね。
辻本
実験なので、あえて先端まで削ってみますか。
(吹いてみて)さらに良くなりましたね。もうちょっとやってみてもいいかもしれません。

 

昔の情報では先端に近い真ん中はやらないほうがいいと言われていましたが、ハート部分のちょっと下あたりを削るのもアリだと思います。
梅本
そうなんですか。これで変わったら私も今度やってみよう(笑)。
辻本
(吹いてみて)ビチビチしてきましたね。この部分は手を出したらいけないのかも。音も広がってしまいました。でも、面白い!
梅本
正しい情報ではなかったというのがわかって良かったです。それとやりすぎは良くないということですね。

 

ハート、ヴァンプには手を出すなということですね。整うということでは聞いていてもよくわかります。音域によるムラがなくなる感じですね。
辻本
そうですね。次にこれも薄くて狭い感じのリードですけど、さっきのような現象もありますから実験してみます。
梅本
辻本さんはもう片手で扱っていて「♭ふらっ砥」使いの上級者です(笑)。昔やっていたから楽しくなっていますね。

 

辻本
(笑)。(吹いてみて)変わりましたね。元々音のフォーカスが狭いので、その感じは否めないのですが、ぜんぜんアリですね。大アリです。薄いからといっても諦めなくていいというか、どうせそのままでは何も変わらないので一回整えてみてどうなるか。

 

梅本
そうですね。トライしてみてどうなるか、ですね。

 

使い方としては表面の片側を削るのと、裏面の全体を平らにする。尖砥の使い方についてはどうですか?
梅本
シングルリードでも使いますが、オーボエとかファゴットでもよく使われてます。普段ダブルリードの方はカッターを使っていますので、そのナイフの代わりということです。初心者の方がリードを作ったり調整したりするときに使っています。
辻本
レギュラークラスのリードをやってみたくなりました。ひと擦りしてみます!
(入念に吹いてみて)ひと擦りにしといて良かったなと思います。もともとがバランス型だったので、少しバリが取れたほうがいいのかなと思ったのですが、もう少しやっていたらビチビチしてきそうな感じです。でも、想像の5倍も良かったです。

 

ぜんぜん使えないリードが練習、本番でも使える状態になる。また、どこをどういうふうに削ったらいいのか勉強になりました。
辻本
好きな人は初心に返って、サンプルをたくさん用意して研究したらいいと思いました。当時はそんなこともできなかったんですけど、この「♭ふらっ砥」だったらどんどん研究できますよね。研究熱心じゃない方でも裏面の調整は良さそう。ありがとうございました。

 

ありがとうございました。
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