山元康生の吹奏楽トレーニング!│第9回
「バッテリー練習」「分割⇒結合練習」で自信がつきます
「分割⇒結合練習」について例を示しておきます(譜例6)。
有名なタファネル=ゴーベールの第1番の最後のほうです。
この循環パッセージも大変難しいです。
タファネル=ゴーベール「17の毎⽇の練習第1番」より
1からのエクササイズは常に記譜より1オクターブ上で、長いスラーを付けて練習します。
1のようなバッテリー練習を丁寧に練習すると、もとの形に戻した時に簡単に吹くことができます。
2で、それぞれの拍+次の1音を何回も練習します。
3 2拍つなぐと少し難しくなります。この場合もリズム変奏を応用してください。
4循環させるために2拍目+3拍目、4拍目+1拍目の練習もします。
以上の練習を丁寧に行えば1のバッテリー練習は、スムーズに吹くことができるようになります。
指のフォームが悪いと苦労します
指のフォームにも気をつけてください。
キィのストロークは3.5mm~3.8mmぐらいです。
それよりもはるかに高く、キィから離れた位置に指を待機させているのはムダな動きをすることになります。
画像1と画像2を見てください。
画像1のF♯3ではキィを押さえていない中指と小指が高く上がっていますね。しかも中指と小指の高さが違います。次の画像2のG♯3では、それらの指は同時にキィを押さえなければならないのですが、移動する距離が極端に違うと動作が不正確になってしまいます。
画像3と画像4のように、なるべくキィから指が離れないフォームに習慣づけられるように鏡を見て練習してください。
なお、この連載では5のような付点のリズム変奏は採用しておりません。
その理由としては、難しくない部分では正確な付点のリズムで吹くことができますが、難しい部分になると5aのように付点が3連符に近くなってしまうためです。
正確でないリズムで吹くということは自分でコントロールができていないということになります。
付点で練習しても害はないのですが、その時間を自分でコントロールできるリズムでの練習に使うほうが良いと思います。
【譜例7】のシューベルトでは3連符をリズム変奏「for 3 notes」や「for 6 notes」で練習した後に、5のように4連符×3とみなして「for 4 notes」のリズム変奏でも練習すると、より効果的です。
シューベルト「しぼめる花による変奏曲」第2変奏より
シュターミッツで取り上げた「すべっている状態」になりやすいのが、【譜例8】のライネッケの協奏曲です。
ライネッケ作曲「協奏曲」第1楽章より
すべりやすい音であるスラーの最初の音を1のように長い音価で吹くリズムで、ゆっくりから丁寧に練習しましょう。
テンポを上げてタンギングが間に合わない時は、2で付点のタブルタンギングの練習をしてから3のように指と合わせていきます。
ゆっくりのテンポから次第に速くしていくわけですが、リズムを3連符に戻す必要はありません。
テンポが速くなると、とてもこのリズムで吹くことはできず、自然と3連符になっていきます。