Smooth Jazz Vibes
人間の歌声に最も近い楽器と言われるサックス。そして、その武器を最大限に発揮できるジャンルはと言えば、それはスムース・ジャズということになるのではないか。もともとはグローヴァー・ワシントンJr.が、R&Bシンガーが歌うかの如くサックスを奏でたことが、スムース・ジャズ誕生のきっかけだ。その原点に返って、R&Bフィールが横溢する甘美なスムース・ジャズの世界に迫る。
ジェラルド・アルブライト
ジェフ・ローバーやジョージ・デュークがプロデュースを手がけた作品などをはじめ、様々なジャンルのアーティストのセッションに参加して注目され、1987年に「ジャスト・ビトゥイーン・アス」でソロ・デビュー。1990年の「ドリーム・カム・トゥルー」がヒットを記録し、その後もコンスタントにアルバムをリリースしてきた。ファンキーなプレイが得意だが、音作りのセンスも良く、またベーシストとしても高い実力の持ち主である。
エリック・マリエンサル
1987年にチック・コリア・エレクトリック・バンドに加入し、その超絶的なテクニックで一躍注目を集めた。1988年に「ヴォイセズ・オブ・ザ・ハート」でソロ・デビューを果たし、その後もコンスタントにアルバムをリリース。ファンキーでダンサブルなサウンド、ポップなアプローチ、シリアスなジャズなど、幅広いサウンドを展開し、またテナー、アルト、ソプラノのいずれも自由に吹きこなすマルチ・リード奏者として、高い評価を得ている。最近作は2007年の「ジャスト・アラウンド・ザ・コーナー」。
デイヴ・コーズ
ジェフ・ローバーやリチャード・マークスのグループで頭角を現わし、1990年に「デイヴ・コーズ」でソロ・デビュー。スムース・ジャズ的なメロディアスでクールなサウンドを展開する一方で、ファンキーで熱いプレイも得意。特にパワフルにブロウしまくり、ステージ狭しと駆け回る圧倒的なライブ・パフォーマンスは大きな魅力で、多くのファンを魅了してきた。日本にもファンは多く、ほぼ毎年来日して、熱いライブを繰り広げている。最近作は「ハロー・トゥモロウ」。
リチャード・エリオット
かつてタワー・オブ・パワーにも在籍し、ジャズからポップスまで幅広くカヴァーできる音楽性と確かなテクニックで、セッション・プレイヤーとして引っ張りだこになっていった。その後1987年に初リーダー作「トロール・タウン」をリリースし、1992年の「ソウル・エムブレイス」がコンテンポラリー・ジャズ・チャートの1位を記録。その後も意欲作を次々と制作して、スムース・ジャズ・シーンを代表するサックス奏者になっていった。